(3)調査仕様の詳細

以下に各調査仕様について決定した経緯を記す。

1) 展  開

展開方法は、現地の地形・地質状況・探査深度等を考慮し実施した。3測線共に展開は終端発震展開を用いた。終端発震展開とは震源を起点に進行方向に受振器を設置し収録する方法である。測線端では、共通反射点をより多く得るために受振器を固定し、震源のみを移動させて収録を実施した。P波探査は受振器間隔は2.5m、震源の間隔を5mとし、最小オフセット距離は2.5mとした。S波探査は受振器間隔は0.5m、震源の間隔を1mとし、最小オフセット距離は0mとした。

2) 受振器とケーブルの設置

受振器及びケーブルは道路脇の田畑のあぜに設置し、歩行者の妨げにならないようにした。また、脇に設置が無理な場合は三脚を用いて受振器を道路上に設置した。 S波の調査は受振器を横にして設置するため、固定及び風等のノイズ抑制のために砂袋をかぶせて設置した。

3) 探査震源

震源は探査深度が深いP波探査が7800Nの大型スイープ震源を使用し、探査深度が極浅層を目的としたS波探査は490Nの小型スイープ震源を使用した。より鮮明な反射信号を取得できる様に、周波数を可変制御できる震源を用いる事にした。

作業に当たって震源周辺において通行の妨げになる場合は作業者が直ちに震源を移動した。作業時間外は機材収容用2tトラックに保管した。

4) 収録装置

収録装置はボックス型ワゴン車の後部に設置した。これは、P波探査の測線長が長く展開の配置替えがあり、観測車も同時に移動ができるようにするためである。電源には3kwの小型発電機を使用した。作業時間外はワゴン車を移動させ宿泊所にて保管した。

図2−2−1 反射法探査測線図(長井市平山地区:S波)

図2−2−2 反射法探査測線図(米沢市舘山地区P波探査測線及びS波探査測線)

5) 現地テスト

地下の地質構造を最もよく捉えられるように、反射法地震探査の測定に先だって地質条件の把握・測定条件決定のためのテストを実施した。テストでは、最適なスイープ周波数と、他の雑振動ノイズを弱めるための垂直重合数の検討を行なった。

現地テストの結果、米沢市舘山地区P波震源のスイープ周波数を20−180Hz、S波震源のスイープ周波数を20−180Hz、長井市平山地区S波震源のスイープ周波数を20−120Hzとした。またスイープ時間7秒、収録長8秒、垂直重合数は通常4回とし、交通量の多い時間帯は8回とした。