8−2−2 海域の地質構造

秋田沖の大陸棚には飛島から男鹿半島基部に向けて連続する飛島−船川隆起帯と呼ばれる北北東方向の背斜構造が発達し(岡村ほか1996)、その東側に日本海の拡大時に形成された大規模な堆積盆地が広がっている(佐藤ほか1999など)。その基底部には中新世のB層(女川層基底付近相当)が深度6,000mにも達し、特徴的な構造システムを構成している(図7−36)。

飛島−船川隆起帯は堆積盆地の西縁に沿って逆断層が成長した盆地反転構造(岡村ほか1996)で、正断層の運動が逆断層に移行することによって形成される。測線RSA884LM(図7−32)ではこの特徴的な構造が見られる。しかし、RSA894LMでは厚い堆積物は認められるが盆地反転構造は明瞭でない。

堆積盆地内には背斜構造が数カ所に認められ、試錐データから西傾斜の逆断層が考えられる。これらの大部分の背斜構造はG層にも及んでいることから逆断層の活動はG層堆積後も継続していたことになる。しかし、最近は活動を停止しているものも認められる。

背斜構造群は東側の秋田平野で顕著になり、石油ガス田が形成されている。この構造に関与しているのが北由利断層(藤岡ほか1977など)で、東側に高角度で傾斜した逆断層群が特徴である。なお、西傾斜の逆断層も大局的には西側が低位の構造であるので、下位には東傾斜の逆断層の存在が推測される。

今回の北由利断層の調査では沖合い数10km海域を含めた構造システム、すなわち堆積盆地の中での位置付けを確認し、調査を進めることにしている。この観点から堆積盆地の中の背斜構造に関連した逆断層として、図7−36に示す断層群が注目される。これらについては次項で述べる。