2−4−2 地震予知総合研究振興会(2002)

この研究は、1998年9月15日に発生した地震(長町−利府断層深部延長付近の深さ12kmを震源とするM5の地震)の震源付近の深部地下構造と断層のすべり面の解明の資料を得ることを目的として、長町−利府断層の上盤側に互いに直交する2測線(Line A、Line B)を設定して反射法・屈折法地震探査が実施された。主な観測仕様を表2−4−2に示す。

Line AとLine Bの深度断面図を図2−4−3に、またその反射断面解釈結果とその地質学的解釈を図2−4−4に示す。

地震予知総合研究振興会(2002)によると、Line Aの深度12km付近には、やや西に傾斜して測線東端の深度8km付近まで追跡できる反射イベントがあり、長町−利府断層の深部延長に相当する可能性が高いことを指摘している(図2−4−4)。また、Line AとLine Bそれぞれの中央部(深度2〜4km付近)に見られる振幅の大きな反射パターンの領域は、地表では後期中新世に形成されたカルデラ群の位置内にあり、領域の東端がカルデラ壁と一致することから、この領域はカルデラを形成したマグマ溜まりが固化した岩石に相当する可能性を指摘している(図2−4−4)。

地震予知総合研究振興会(2002)によるとLine Aの屈折法地震探査結果、表層(第1層)のP波速度を0.8km/secと仮定すると、第2層のP波速度は2.0〜3.2km/secとなり、芋沢川沿いに遅く、測線両端では速くなる、また、第3層では5.7km/secと解析している。また、反射法地震探査の速度解析結果、地表から2km程度の深さまでのP波速度は2km/secから約6km/secまで上昇しており、それより以深では、約6km/sec強の速度分布になると推定している。