2−1−1 地質分布

調査地域周辺の地形は、大きく丘陵、台地(河岸段丘)、低地(平野)に区分される(図2−1−1;北村ほか,1986)。北村ほか(1986)では、丘陵をその標高、開析程度、平坦面の有無などから7つに地形区分している。

調査地域周辺の地質は、最も古い先第三系(中生代三畳紀の利府層)が塩釜丘陵の一部に分布しており、丘陵には新第三系と第四系の一部が、また、台地の表層部と低地には第四系が分布している。新第三系は中新統と鮮新統からなる。中新統は名取層群(槻木層、高館層、茂庭層、旗立層、綱木層)、及び秋保層群(湯元層、梨野層、白沢層、三滝層)から、また、鮮新統は仙台層群(亀岡層、竜の口層、向山層、大年寺層)からなる。第四系は青葉山丘陵に分布する青葉山層、台地に分布する河岸段丘堆積物、及び低地に分布する沖積層からなる(図2−1−2図2−1−3;北村ほか,1986)。

調査地域の第四系について、宮城県(1985)による上部第四系(沖積層)基底面等深度線図(等深度線間隔5m)、及び先第四系(新第三系)上面等深度線図(等深度線間隔10m)を図2−1−4に、地質断面図を図2−1−5図2−1−6図2−1−7図2−1−8図2−1−9に示す。

沖積層の基底面深度は、全体に海岸に向かって緩やかに深くなっているが、七北田川河口付近で深さ45m程度、名取川河口付近では深さ30m程度と、周囲のそれに比べやや深くなっている。一方、新第三系の上面深度は、全体に比較的なだらかに海岸に向かって深くなっており、深さ40〜60m程度の部分が多いが、七北田川及び名取川に沿って深さ70〜80m程度の深い部分が認められる。なお、若林区の笹屋敷付近では、新第三系の上面深度が一部深さ30mまで高まる部分が認められる(図2−1−4;宮城県,1985)。これらの地域の新第三系は、宮城県(1985)によると極軟岩を主とする地盤であり、一軸圧縮強度は20〜30kgf/cm2程度、P波速度は1.2〜2.5km/sec程度とされている。

調査地域の基盤岩類として、深掘りボーリングデータから、次のものが確認されている。太白区の新愛宕橋右岸の長町−利府断層隆起側では古生代シルル紀の片岩が、長町−利府断層低下側の若林区蒲町では中生代三畳紀利府層と推定される粘板岩が、また、宮城野区蒲生でも中生代三畳紀利府層の砂岩・頁岩が、それぞれ確認されている。なお、調査地域からは南にはずれるが、岩沼市街地で掘削されたボーリングでは、深度590〜900mでミロナイト化したような花崗岩が確認されている(盛合・上野,1997)。