静補正は、低速度の表層を第2層の速度で置き換え、発震点・受震点が見かけ上基準面に並ぶようにする処理である。
a.表層補正
一般的には屈折法により表層を ”はぎ取る”方法が用いられるが、特にミラージ的な速度変化を示すような速度構造地盤では、必ずしも精度の高い補正値を得られるとは限らない。そこで、次に述べる「屈折波を用いたトモグラフィー」により表層の速度分布を求め、これにより静補正値を算出し、表層に起因する乱れを補正した。図−8−1にLine1測線の図−8−2にLine2測線の表層速度解析結果を示す。
屈折波を用いたトモグラフィーの解析手順は、次の通りである。
観測波形よりP波の初動走時を読みとる。
差分格子点に適当な初期速度分布値を与える。
アイコナール法により、ある発震点で起震した場合の各格子点の初動走時を計算する。
初動走時分布をもとに波線を求める。
各波線の観測走時と計算走時の比を修正係数とし、波線周辺の格子点に記憶する。
〜
を全発震点について行う。
格子に配られた修正係数をもとに波線を求める。
〜
を収束するまで繰り返す。
b.残留靜補正
NMO補正後に最大値を8msecに制限した自動残留靜補正を行った。
C.CMPアンサンブル内での標高靜補正
NMO補正前に、補正速度を1550m/secとして、各アンサンブルごとにその平均標高までの標高差補正を行った。
d.重合後標高静補正
マイグレ−ション、深度変換後に各CMPの平均から基準標高までの標高静補正を行った。なお、時間断面図のプロットの際も、地表平均標高から基準標高までを、1550m/secの速度を仮定して標高補正を行った。