震源:ミニバイブレーターT−15000(IVI製)
起震を行う場合には、まず車体中央のプレートを地面に降ろし、これに車重の大部分をかけて地面に圧着する。車体とプレートの間にはエア・ダンパーを挟んでおり、車重はプレートに加わるが起震時の振動は車体へ伝わらない構造となっている。起震時にはプレート上のアクチュエーターでカウンターマス(約150kg)を上下に振動させ、その反力によりプレートを介して地面を振動させる。発生する波はパルスではないが、コリレーション演算を行うことによってダイナマイトのようなパルス震源と等価な記録を得ることができる。図−4にミニバイブレーターの外形図を示す。
<バイブロサイスの原理>
バイブレーターを震源とした探査は通常バイブロサイスと呼ばれており、その原理をまとめると図−5に示すとおりである。
a.バイブレーターで低い周波数から高い周波数まで徐々に周波数が遷移する波形で起震する()。発生波の振幅は速度振幅が一定となるように再帰的に制御する。
b.反射波は図の〜
に示すように、ダイナマイトなどのパルス震源とは異なり、震源波形の初動時刻・振幅・位相をずらした波形となる。従って観測波形は
に示すように、これらを重ね合わせた複雑な波形となる。
c.観測終了後、震源波形()と観測波形(
)の相互相関関数を計算する。この結果は
に示すように、ダイナマイトなどのパルス震源と等価な記録となる。
<バイブロサイスの特徴>
a.起震エネルギーが大きい。
b.低い出力のエネルギーを継続して出力する震源機構のため、環境への影響が少ない。
c.起震周波数範囲を選択できるため、所望の周波数帯域の観測が可能である。
d.可搬性に優れており、作業効率が高い。
探査装置(G・DAPS−4:(株)地球科学総合研究所開発)
有線テレメトリー型の探査装置で、アナログ増幅、A/D変換、スタック、相互相関計算、ノイズ除去などの処理を、地震計の近くに設置したアンプボックス(RSU:1箱で4ch)で行うことが出来る。このためチャンネル数が多くても(1ラインで2032CH)、観測車との間のケーブルは1本で済み、またアナログケーブルを長く張ることがないため電磁ノイズを拾うことも少ない。観測車には、これらのRSUを管理するコントロ−ル部があり、地震計の接続状態・アンプボックスの状態・バッテリーの残量などがリアルタイムで監視できるほか、収録したデータに波形処理をして記録の質を検討できるモニター機能も持っている。
この装置の特徴および諸元は次のとおりである。
・テレメトリ型のため、1本のケ−ブルで多チャンネルの収録が可能である。
・2032CH/line×1024 lineと、ほぼ無限のチャンネル数の収録が可能である。
・24bitデルタ−シグマ型のA/D変換器を使用しており、ワイドレンジである。
・デ−タ収録計画機能、テストデ−タ処理機能を持つ。
・収録データ長 :最大16000データ/ch
・サンプリング間隔:0.5、 1.0、 2.0、 4.0msec
・データ書式 :SEGY FORMAT
・周波数特性 :DC〜822 Hz
・分解能 :120 db
・プリアンプゲイン:0、 12、 24 db
地震計 〜 SM−7 (Sensor製)
・固有周波数 : 10Hz
・グル−ピング : 9個グル−プ/ch
地震計は複数個の直列(9個グループは3直列*3並列)に結線されたものを使用し、1つのアナログ信号にして観測装置への入力する。このように1測定点に多数個の地震計を設置して観測することをグル−ピングと呼んでいるが、主な目的は次のとおりである。
a. 反射波観測においてノイズとなる表面波を減衰する.
b. 受震器の感度を増す.
c. 測定点間隔が粗いために起こる波数領域でのエイリアスを防ぐ.
その他の機材
・バイブレーター起震制御装置 〜 ADVANCE− II (PELTON製)
・無線機 〜10Wat.VHF(JRC製)