(イ)断層モデル
中央防災会議(1979)による断層モデルを使用する。マグニチュードは8.0とされている。図4−4−26に断層位置図を表4−4−3に断層パラメータを示す。
アスペリティモデルは図4−4−27のとおりである。アスペリティの位置についてはプレート間の固着域等も考慮し、内陸側(下端側)に置くことにした。
(ロ)地表面における波形の作成
図4−4−28に東海地震の3次元差分法による長周期波形計算結果を示す。
また、ハイブリッド法により工学的基盤での地震波形を作成し、その波形を表層地盤への入力と考えて等価線形応答計算を行った。このように求めた表層での波形例を図4−4−29に示す。
図4−4−30には、波形から計算した計測震度、最大加速度、最大速度分布を示す。横浜市内では震度4から震度5弱とそれほど大きくない。しかし、最大速度は80kine以上となる地点も多い。図4−4−29を見てもわかるように、長周期成分が卓越した波形となっているためである。
(ハ)READYを用いた50mメッシュでの震度分布
地表の150地点での地震動をもとにREADYにより50mメッシュの震度分布を求めたものが図4−4−31である。市の中央部で震度5強の範囲が見られる。一方、市の南部では震度4の地域が広く分布している。
(ニ)東海地震の地震マップのまとめと課題
・READYによる計算の結果、市の中央部で震度5強の範囲が見られ、市の南部では震度4の地域が広く分布する結果となった。
・使用した断層モデルは中央防災会議(1979)によるものである。その後の観測等により、最近では新たな知見も得られているが、断層モデルとして公表されているものが無いため従来の中央防災会議のモデルを使用した。
・今後、最近の知見を取り入れた断層モデルが公表されることも考えられる。その場合それらの結果を考慮する必要があると思われる。
・統計的グリーン関数法の計算では、地震基盤内での構造は平均的速度を持った1層構造としている。Q値については、東海地震の震源域から横浜市までは地震波は下部地殻・プレート内を伝播してくると考えられるため、Q=1000とした。
・但し、伝播距離が100km以上にわたるため、より精度の高い結果を求めるためには詳細に地殻構造をモデル化し地震波伝播経路を評価する必要もあろう。
・3次元差分法のために使用したモデルは、図4−4−5で示した伊豆半島東岸から関東地方までを含むものである。東海地震の計算を行う際に使用した震源域である駿河湾までを含んだ地盤モデルについては、上記のモデルを外挿して作成した。今後は、各種探査結果を用いて詳細な地盤モデルを作成した上で再検討する必要があろう。