2−2−1 実施した調査項目(手法)とその項目を選定した経緯の概要

瀬尾(1981)、山中・他(1988)は、人工地震探査の研究で、横浜市南部の地下5〜7kmには、段差数km程度のP波速度4.8km/s層と5.5km/s層の段差構造を指摘している。また、既往重力探査及び横浜市でおこなった詳細な重力探査では、立川断層から延長する市域の北西部の地下に北北西―南南東方向に延びる帯状の重力異常が見られる。阪神淡路大震災では神戸市内に活断層は現れなかったが、地下地質構造の境界付近の神戸市内に震災の帯が生じ、多くの犠牲者を出した。したがって、地下数キロ程度の地下構造を推定することは、長大構造物に影響を及ぼす長周期地震動予測には不可欠である。

現在、地下数キロ程度の地下構造を推定する方法としては、人工地震探査等が考えられるが、横浜市では、市内150箇所に強震計を配備しており、世界に類を見ない高密度の強震計ネットワークを構築している。平成9年度には「立川断層帯及びその周辺の断層に関する調査」において、高密度強震計ネットワークの観測記録の初動走時を用いた横浜市独自の解析により、横浜市地下10km以浅の速度構造異常を確認している。したがって、本調査においても上記の解析をすすめ、大局的な地下構造推定、逆解析による地下構造推定のためのデータ蓄積をおこなうこととした。

逆解析を実施する場合、浅部の低速度の地層の層厚変化の走時への寄与が大きいために、使用する記録の質や初期モデルの設定には留意する必要がある。逆解析の精度向上のためにも浅部構造探査を計画、実施する必要がある。探査法として、微動アレイ探査、既往の人工地震データを用いた3次元タイムターム法が挙げられる。

特に微動アレイ探査をおこなうことにより、強震動に強く影響を及ぼす地下のS波速度構造を推定することが出来る。また、横浜市域には既往物理探査データが多く蓄積されているため、地下構造推定法としては比較的新しい微動アレイ探査の手法の検証もおこなうことが出来る。