5−4−2 地震観測点

前節5.4.1で述べたとおり、入力波としては地震基盤で直接観測した波形データを用いるのが最も望ましい。しかし、本調査実施地域内には地震基盤にまで達するような大深度ボーリング孔での地震観測点がないため、本報告書では調査対象地域からやや離れた山間部の観測点(防災科学技術研究所、SGN地点)における、広帯域速度地震波形データを参照した。SGN地点の主な緒元を表5−4−2に示す。SGN地点は石英閃緑岩を主体とする岩盤を掘削して設営された地震観測点であり、本調査地点での観測地震波を地震基盤への入力波として取り扱うことに問題は無いと判断した。

速度構造モデルの検証を行うための観測点としては、明星大学が甲府盆地主要部に展開する地震観測点を利用した。明星大学地震観測点のうち、HRB地点(増穂町平林)は本調査対象地域外の山間部に位置する。また、NKH地点(中道町中畑)及びSON地点(中道町上向山)はいずれも、曽根丘陵の断層帯のほぼ真上に位置する。これら3地点については、観測点直下の速度構造モデルを与えることが容易ではなく、甲府盆地主要部の速度構造モデルの検証を行うには必ずしも適当でないと判断したため、本調査での速度構造モデル検証作業では取り扱い対象外とした。

したがって、実際の検証作業に使用した観測点は、SGN地点(都留市菅野)、YDA地点(甲府市湯田)、KMI地点(甲府市上今井町)、SMI地点(甲府市下今井町)、TMH地点(玉穂町井ノ口)、WKS地点(若草町寺前)及びKSI地点(甲西町古市場)の7地点である。SGN地点を除く6地点の観測点は、図2−2に「地震観測点(年縄)」として△印で記してある。また、これら6地点に対する主な諸元は前出の表3−1−4−1に掲載したとおりであるが、SGN地点との比較の便宜を考慮して表5−4−2(緯度及び経度は「日本測地系」)に再掲する。