5−2−1 使用データ

地質構造モデルの作成に使用したデータを表5−2−1−1に示す。

使用したデータはそれぞれ網羅している対象や精度が異なる。そこで、モデル作成にあたっては次のように優先順位をつけることとした。

 @ボーリングデータ

 A重力データの解析結果

 B海野(1991)の地質断面図と等層厚線図

 C反射法地震探査の解析結果

最も優先したデータはボーリングデータである。これは、地質構造を解釈する上で最も基本的なデータあることと、地層境界の位置が数値で示されているためである。ただし、ボーリングデータは比較的浅部までの情報しか得られないため、深部の基盤構造や盆地と山地を隔する断層は重力データの解析結果を使用した。海野(1991)などに示されている断面図や等層厚線図は解釈の加わったデータで利用価値が高い。しかし、小縮尺であるためデジタイザで入力する際に100m単位の誤差が生じ、ボーリングデータとの整合が取れない場合がある。したがって、これらの図面はデータの無い箇所での地層のトレンドを与えたり、地層の分布領域のおよその範囲を規定する際の参考データとし、モデル作成には直接利用していない。反射法地震探査の解析結果は既往の地質資料では区分し得ない第三紀層相当層を通る速度境界のモデル化の際に参照した。

図5−2−1−1は使用したボーリングデータである。ボーリングデータは長短合わせて41孔、総掘進長18,682mである。同図に示すようにボーリグ地点は盆地の中央部に集中しており北西部と東部には少ない。また、盆地中央部でも長深度のボーリング孔はわずかであり、逆に盆地の縁辺部では温泉ボーリングなどの比較的長尺のボーリングが存在する。

次に優先したのは重力探査の解析結果である。これは盆地を縦横に横断する5つの測線に沿って地震基盤の位置が断面図で示されている。これらによると、地震基盤の上限は概ね標高−1000mより深部に推定されており、上述のボーリングデータに当該標高まで到達しているものは無い。そこで、重力探査の解析結果はそれをそのまま利用して基盤の上限面としてモデル化した。これまでに述べた使用データと作成手順をまとめて図5−2−1−2に示す。