4−3−3 VSP探査のデータ解析

図4−3−3−1にVSP探査結果と地質柱状図の比較を示す。

地質境界と走時曲線の折れ点の位置が整合的であることがわかる。大きく地質的に変化する部分に赤い線が示してある。このような地質境界では一般的には速度境界にもなりやすく今回の測定結果でも速度境界となっているところが多い。また反射波は速度境界(音響インピーダンスの変化するところ)から発生しておりVSP重合結果にもつよい反射面として捉えられてることがわかる。また地質境界とは異なる部分からも強い反射波が測定されているところがある。

VSP探査を行ったボーリング孔と反射法地震探査の南北断面は比較的近い位置関係にあるため、これを比較したのが図4−3−3−2である。VSP探査を行ったボーリング孔は反射法地震探査の南北断面上でCDP150にあたる位置に投影される。反射法時間断面のCDP150の部分にVSP探査重合結果を7トレース差し込んだものである。VSP探査結果は反射断面の時間軸にあわせるためタイムシフトを行っている。

反射時間断面上に現れているイベントとVSP探査結果に現れている反射イベントは対応が良く、VSP探査解析結果から解釈されるイベントに着色し示した。上から水色の線で示すのは韮崎岩犀流の下面、緑色の線は安山岩上面である。また水色の線から緑色の線までの間にもVSP探査結果、反射法探査結果いずれにも対応の良い反射イベントが認められる。    

屈折法地震探査などでは推定されているが、反射断面上で明瞭に見えていない赤い破線で解釈している花崗岩上面と考えられる反射面もVSP探査結果では確認できる。しかし測定深度より深い部分に相当するこのイベントは深度情報の精度が低下するため、反射イベントかそれ以外のノイズかを判断する事が難しい。仮にこのイベントが反射波と解釈した場合での速度解析結果の最深部の速度とイベントの出現時間からおおよその深度を見積ってみた。VSP探査による速度解析結果の最深部分は3800m/sで深度500mからこの速度で計算すると反射波は872m付近となり、計算されたイベント深度は重力探査解析結果や屈折法地震探査の結果から予測されている花崗岩出現深度と対応が良いと考えられる。