(4)速度検層(サスペンション検層)

図4−2−3−1の総合検層結果図に示すと同時に、地質区分と速度値の関係を表4−2−3−3 に示す。

地山密度と同様に第6層、第7層の安山岩質凝灰角礫岩、安山岩で速度が大きくなる。特に、第7層の安山岩はP波速度の平均値が3830m/s、S波速度の平均値が2010m/sと上位層に比べると大きな値を示す。この値を同一のボーリング孔で実施したVSP探査から求めた速度値と比較するとP波速度については同一の値である。しかし、表4−2−3−4に示すようにS波速度についてはVSP探査結果から求めたS波速度1300m/sとは異なる。この結果については、サスペンション検層は1m区間速度の平均であるのに対し、VSP探査から求めた速度は20m区間での最小自乗法的な速度であることに関係があると考えている。すなわち、サスペンション検層は孔内発振−孔内受信型のゾンデであるため、地山の比較的良好な部分を伝播してきた速度を捕らえている可能性が あるのに対し、VSP探査は地上発振−孔内受信型の測定システムであるため、求めた速度は地表付近の影響も受けた平均速度的な要素がある可能性があり、特にS波速度はその影響が大きいと考えられる。ボーリング地点から比較的近傍(離間距離500〜1000m程度)で実施した微動アレー探査の結果はVSP探査で得られた速度とほぼ同一の速度となっている。

なお、第4層の速度についてはサスペンション検層、VSP探査とも他の速度層よりもやや大きくなる全体的な傾向は同一であるがP波速度は大きく異なり、S波速度もやや異なる。この原因についてはわからないが、VSP探査から求めたP波速度が大きすぎるとの判断もある。しかし、現地での観測でも大きい速度であることが判明していたため、ケーシング挿入条件や発振条件等を変え、何度か再測定を試みたが常に再現性が認められた。そのため、あえて解析結果はそのままにしている。