(6)反射法解析結果

図3−2−1−4−1に重合時間断面図(東西測線)、図3−2−1−4−2にマイグレーション後の時間断面図(東西測線)、図3−2−1−4−3に深度断面図(東西測線)、図3−2−1−4−3の深度断面図をカラー表示したものを図3−2−1−4−4に、更にそれらを解釈したものを図3−2−1−4−5に示す。

南北測線の結果については、図3−2−1−5−1に重合時間断面図(南北測線)、図3−2−1−5−2にマイグレーション後の時間断面図(南北測線)、図3−2−1−5−3に深度断面図(南北測線)、図3−2−1−5−3の深度断面をカラー表示したものを図3−2−1−5−4に、その解釈を図3−2−1−5−5に示す。また、図3−2−1−6には東西測線と南北測線の深度断面をパネルダイヤグラムにしたものを示す。

 なお、平成15年度にVSP探査が行われたため、平成13年度に実施した東西測線と、平成14年度に実施した南北測線の深度断面の見直しを行った。具体的には、反射面と堆積構造との関係を検討する上で精度の高いVSP探査結果を考慮し、また、他の手法との整合が良いと判断されたため、深度変換時に用いる速度を80%の速度から100%の速度にした。

図3−2−1−4−5に示す解釈断面から東西測線における反射面を見ると多くの反射面があるが、後述する屈折波解析結果を踏まえると3つの反射面(水色、橙色、赤色)に区分される。水色の反射面は上部礫層と韮崎岩屑流の境界、橙色の反射面は第三紀層上面、赤色は地震基盤相当層上面が考えられる。反射面自体も比較的、追跡が容易である。但し、測線西側の市之瀬断層群付近(RP250付近)から西側と測線東側の曽根丘陵断層帯(RP800付近)の東側は反射面の追跡が困難である。これは、浅層部から火山岩類が分布し、物性境界を反射面として捕らえられる反射面が無いことに起因していると判断した。 図3−2−1−4−3深度断面図(東西測線)、図3−2−1−4−4深度断面図(東西測線:カラー表示)は図3−2−1−4−2マイグレーション後時間断面図(東西測線)の反射時間断面に速度解析結果を考慮して深度断面に変換している。この結果から特徴的なのは前述したように地質構造や堆積物の違いから、盆地中央部でもある測線中央の速度より市之瀬断層群を含む西側と曽根丘陵断層帯を含む東側の速度が大きいため反射時間断面と反射深度断面が大きく異なる点である。図3−2−1−4−3深度断面図(東西測線)、図3−2−1−4−4深度断面図(東西測線:カラー表示)の反射深度断面から盆地内の基盤の形状を推定すると大局的には東から西に傾斜し、LOC.450付近を境に急激に傾斜する傾向が認められる。深度的にはLOC.450からLOC.800は概ね深度1400〜1500m程度、LOC.300からLOC.450は概ね深度1500〜1900m程度、LOC.200からLOC.300は深度1900〜2300m付近が基盤相当層と考えられる。

南北測線についても東西測線と同様に、屈折波解析から求められる速度層区分も考慮し、反射面の検討を行った。多くの反射面が認められるが東西測線と同様に、反射面は大きくは3層に区分できるが、測線の北側部分(LOC.0からLOC.140付近)には緑色で示した別の反射面があり、一部は4層に区分される。この反射面は、平成15年度にLOC.75付近で実施した深層ボーリング結果から判断すると水ヶ森火山岩上面に対応している。図3−2−1−5−5に示すように地震基盤相当層の反射面深度は北側で浅く、南側で深くなる特徴を有しており、南北で大きく変化する。細かく見ると、国道20号線の北側620m付近(LOC.125付近)で深度950m〜1000m程度(時間0.75秒〜0.8秒程度)であると考えられる地震基盤からの反射面が、国道20号線付近では深度1050m程度(0.85秒付近)、万才橋付近(LOC.185付近)で深度1200m程度(0.9秒付近)、笛吹川付近(LOC.320付近)で深度1600m付近(1.2秒付近)となる。その笛吹川付近を底に、曽根丘陵側の考古博物館付近(LOC.350付近)では深度1550m付近(1.15秒付近)とやや浅くなる傾向が見られ、LOC.375付近では深度1500m付近(1.1秒付近)となる。反射面はその付近から南側は連続していた反射面が見えなくなり、それ以上の反射面の追跡は困難である。これは、火山岩屑(火砕堆積物、礫、砂、泥及び泥炭を伴う)や玄武岩−安山岩火砕岩及び溶岩(泥岩及びデイサイト火砕岩を伴う)などが分布することにより、波動の透過が悪いうえに層相変化が大きいなど、各層が層構造を呈していないなどに起因していることが考えられる。このような現象は、東西測線の市之瀬断層群西側でも同様な現象が起きている。

南北測線で特徴的なのは前述したようにLOC.140付近から北側の山梨県庁、甲府駅付近にかけての顕著な反射面である。当初はこの反射面が地震基盤に相当する花崗岩類と判断していたが、既往のボーリング調査結果から水ヶ森火山岩であることが判明し、花崗岩類はまだ下位であると判断した。しかし、深層ボーリング付近ではその顕著な反射面の下位に明確な反射面は認められないため、その深度の特定はできなかった。