6−2 微動アレー探査と重力解析結果から求めた地震基盤構造

微動アレー探査から求められた地震基盤(Vs=3000m/s以上、本地域ではVs=2760m/s以上とした)に相当する速度層出現(上面)標高と盆地内で広がりを持つデータのひとつである残差ブーゲ異常値との関係図を図6−2−1に示す。

重力値と地震基盤深度とは微動アレー探査を実施した堆積盆地中央部においては火山岩、変成岩等が厚くは分布しないものと現状では考えられるため、密接な関係にあると判断される。当然のことながら相関係数0.95を示し、ほぼ正相関が認められる結果となった。そのため、微動アレー探査実施点近傍であれば残差ブーゲ異常値を知ることにより、地震基盤深度が推定できると判断し、図6−2−2の地震基盤深度のコンタ図を作成した。

図6−2−2によると標高−200mから−2000mに分布し、概ね南西傾斜にある。これはこれまでの知見とほぼ整合しており、今後更に新たな検討を加えることで地震基盤構造を考える上で有力な情報のひとつになるものと考えられる。

図6−2−3には既存ボーリングのうち地震基盤相当岩と考えられる花崗岩まで掘削されている2孔(八田1、竜王1)の花崗岩出現(上面)標高と平成13年、平成14年に実施した屈折法地震探査結果(最下層上面深度)のデータを追加したときの関係図を示す。これによると相関係数0.89と微動アレー探査データのみだけの場合に比べると相関係数は低下するがほぼ正の相関は認められることが解った。図6−2−4図6−2−2と同様に回帰式に基づき、コンタ図を作成したものである。結果は標高−50m〜−1800mと微動アレー探査データだけの場合に比べると全体に浅くなる傾向となった。今後は反射法地震探査によって得られた反射面のデータも考慮した相関を求め、同様な解析作業をすることによって相関があることが認められれば、地震基盤深度を求めることが可能となると考えられ、地盤構造モデルを構築するうえで参考になるものと判断している。