2−3−5 解析方法

上記のブーゲー異常値を100m間隔のグリッドデータに変換し、図2−3−9のブーゲー異常平面図を作成した。

作成されたブーゲー異常図では負の異常が卓越しているが、これは本州の下に沈みこんでいる太平洋プレートとフィリピン海プレートおよびモホ面の形状等の影響によるものである(萩原、1986)。基盤構造解析のように表層付近の密度構造を解析する際にはこれらの広域的な成分は不要であるので、甲府盆地を中心に100km×100kmの範囲から求めた一次傾向面(図2−3−10)を差し引いて広域成分を除去した図2−3−11残差ブーゲー異常図を作成した。なお、図2−3−12に示すフィリピン海プレ−トの重力値への影響を見ると、1次傾向面とは走行で約35度の違いが認められるが、1次傾向面にはフィリピン海プレ−トの影響だけでなく、太平洋プレートやモホ面の形状の影響も含まれるものと判断し、1次傾向面による補正を実施した。断面解析用に設定した測線上のデータを残差ブーゲー異常値のグリッドデータから内挿で求め、二次元解析を行った。二次元解析に用いたプログラムは米国地質調査所が開発した「SAKI」である(Webring、1985)。

本プログラムでの重力値のフォワード計算はタルワニの方法が、またインバージョンアルゴリズムは修正マルカート法が用いられている。

解析では、堆積層に相当するポリゴンモデルを初期値として作成した。基盤に対する堆積層の密度差を仮定したポリゴンモデルによる重力値を計算し、計算された重力値と測定値との差を小さくするようにインバージョンアルゴリズムによってモデルの節点の座標の修正量を求め、修正したモデルから再度重力値を計算する。計算値と測定値の差が十分小さくなるまでこの過程を繰り返し、最終的な構造モデルを求める。

解析に際して、基盤に対する堆積層の密度差は國友・志知(1985)で使用された −0.35〜−0.37g/cm を採用した。また、地表で確認されている地質境界、断層等を考慮してモデルを作成した。A−A’断面では、反射法地震探査断面を参考に砂礫層を−0.67 g/cmと仮定して設定した。

図2−3−8にデータ処理及び解析のフローを示す。

図2−3−8 データ処理及び解析のフロー