(4)2次元比抵抗解析

品質が劣る測定データは解析に利用しなかった(特に低周波数部)ため、モデルの比抵抗分布は深部になるにつれ比較的単純になる傾向がある。なお、解析見掛比抵抗と測定見掛比抵抗の残差は4%弱と良好である。本解析結果から、調査地域の比抵抗は数Ω・m〜5000Ω・m以上の値を示し、数100Ω・m以上の比抵抗が主として分布していることが判明した。以下、解析結果を列記する。

・ 1000Ω・m以上の高比抵抗は、地表近傍〜深度20km前後に分布している。測点5〜6では、深度2km〜8kmの範囲に厚く分布し、南に行くにつれその下限深度は浅くなる傾向にある。

・ 測点1〜6間の深度12km〜20km前後にも高比抵抗が分布し、測線中央部は高比抵抗域に挟まれた構造となっている。

・ 測線南部では、測点10以南の深度2km〜12km前後に厚く高比抵抗は分布している。なお、本地域には花崗岩が広く分布しており、高比抵抗の傾向を示すことは調和的である。

・ 100Ω・m以下の低比抵抗は、測線北側と測線中央部にその分布域が見られる。測線北側では、測点1と2の深度5km〜12kmに掛けた区域、及び、その上部に当たる測点2〜4の地表から深度2km前後まで区域に低比抵抗が分布している。

・ 測点2〜4の低比抵抗は10Ω・m以下の値を示しているが、これは弓ヶ浜半島の堆積構造に対応した低比抵抗領域であると考えられる。他方は測線端部に位置しており、今回の測定結果でその分布形状などを検討するのは難しい。

・ 測線南方から延びる1000Ω・m前後の高比抵抗域は測点3で不連続になっている。なお、この1000Ω・m前後の高比抵抗分布は測点2以北ではおよそ深度5kmより浅部に分布し、深度2km以浅においては測点1下方が高比抵抗となり、測点2以南と明瞭な比抵抗境界となっている。

・ 測線中央部の低比抵抗は、測点8と9の深度3km〜8km区間に見られる。