3−4−1 見掛比抵抗

各測点での見掛比抵抗の傾向を列記する。

・ 測点1のyz方向は、0.01Hz以降まで見掛比抵抗の連続性が良く、比較的品質が高い。Xy方向は1Hz以降、急激に見掛比抵抗が下がる傾向が見られ、位相も急激な変化をしている。これは、地形や地下構造の異方性の影響と考えられる。

・ 測点2〜7についてはxy・yz方向とも、0.01Hz前後まで見掛比抵抗の連続性が良く、比較的品質が高い。位相についても同傾向である。

・ 測点8では、yx方向の見掛比抵抗は0.01Hz前後まで連続性及び品質が良好である。Xy方向は急激に見掛比抵抗曲線が下がっており、位相も異常な値を示している。これは、地形や地下構造の異方性あるいは送電線ノイズの影響を受けているためと考えられる。

・ 測点9は、1Hz前後までは両方向とも品質は良好であるが、それより低周波数領域は品質が非常に劣る。本点は、線路あるいは発電所に近接しており、それらのノイズに影響されていると考えられる。

・ 測点10・11は、xy方向については、1Hz以降は品質が劣るものの、yx方向は0.01Hz前後まで比較的良好なデータとなっている。

・ 測点12・13は、1Hz前後までは両方向とも品質は良好であるが、それより低周波数領域は品質が劣る傾向がある。

本地域の周辺部では、鳥取県西部地震以降、MT法調査が実施されている。その結果より、直流電車である伯備線の漏洩電流や、地域南部で日野変電所に繋がる高圧送電線が密集している事の影響で、高品質のデータ取得が難しい事が判明している。

直流電車の漏洩電流については、深夜1時より朝5時前後まではほとんど観測されないことが判っており、地域北側の測点1〜7までは、比較的良好な結果となっている。ただし測点9以南では、比抵抗が高いこともあり高圧送電線などの影響が大きく、低周波数部の品質低下の原因と考えられる。