1−8−2 余震域

余震域(2000年鳥取県西部地震合同稠密余震観測グループが取得した余震:M 1.7以上)との対比により地震探査から得た深部反射波及びMT法探査から得た比抵抗構造と余震分布との関連性について考察した(図1−5図1−6図1−7)。

<本震より南側部分の余震域>

・ 本震より南側での余震分布は、平面的に北西−南東方向に細い帯状を呈し、その深度方向(概ね2km〜12kmの範囲)には、深部反射波−Aの上部に分布している。

・ 深部反射波−Aが本震より南側の余震域の下限に相当する。

・ 本震は、深部反射波−Aの北端と深部反射波−Bの南端との境界域の上部に位置している。

<本震より北側部分>

・ 余震の北限周辺での余震分布は、南側とは異なり平面的に幅を持ち、南側よりも浅い深度(2km〜7km程度)に分布する。その分布域は、余震域での反射イベントが卓越するゾーンにほぼ一致する。

・ この反射イベントが卓越するゾーンでは、反射波の振幅が強く、反射波の強度と余震分布との相関性を示唆している可能性がある。

・ 広角反射法の記録断面と余震分布との対比から深部反射波−B(深度14km前後)周辺にほとんど余震が分布していない。

<MT法探査>

・ 本震は、鎌倉山周辺部の低比抵抗帯に位置している。

・ 本震より南部では、高比抵抗域に挟まれた領域に余震が分布している。

・ 余震分布の南限は、ほぼ比抵抗の境界部に相当する。

・ 余震の北限周辺では、高比抵抗域に余震が分布している。その高比抵抗部は前述したように、反射法記録断面図において強振幅ゾーンに相当する。

このように地震探査から得た深部反射波並びにMT法探査から得た比抵抗構造と余震分布との間には相関性があると考えられる。特に、余震域の南部において深部反射波−Aが余震分布の下限に相当することは、その深部反射波の成因と地震発生機構とが関連性をもつことを示唆している可能性がある。