(3)データ取得方法の概要

反射法地震探査のデータ取得システムは、震源系、受振・記録系から成る。

<震源系>

反射法地震探査の震源として使用したバイブレータを搭載した起振車(起振車)の原理について記載する。バイブレータは、図2−4に示すように、制御エレクトロニクス内の発振器の作り出した基準信号(連続的に周波数が変化するスイープシグナル)に従って、油圧によりベースプレート上のピストンを振動させ、その反力により地面に振動を与えるタイプの非爆薬震源である。通常、車両に搭載され(図2−5)、発震点間を迅速に移動することができるので、非常に作業効率が良い。又、エネルギーを連続的な振動として、分散して与えるので、舗装道路上でも損傷を与えることなく使用することができる。車体重量をベースプレートにかけて振動させることことで、地面とのカップリング効果を高めている。受振記録については、図2−6に示すようなスイープシグナル(基準信号)との相互相関処理を行い、発破のようなインパルス震源と同等な記録とする。

<受振・記録系>

受振については、地表に設置した受振器で取得したデータを観測車に搭載したデータ収録装置において磁気テープ等の媒体に記録する方法が一般的である。一度に数百チャンネルの受振点で観測する場合、テレメトリー方式によるデータの収録が最も能率的な方式である。テレメトリー方式とは、各受振点の近傍で取得データのA/D変換を行い、本線ケーブルにより、そのディジタルデータとアドレス情報を順次、探鉱機に伝送する仕組みである。図2−7にその模式図を示す。

本調査で使用したGDAPS−4Aディジタルテレメトリシステムは、図2−8に示すように、CRU(Central Recording Unit)とRSU (Remote Station Unit)から構成されている。通常、CRUは観測車に搭載され、RSUは受振器と共に測線上に配置される。 RSUは、 6受振点分の観測データに対して、

・内蔵するA/D変換装置による24ビットのディジタルデータへの変換

・バイブレータの発振に対するスイープ回数分の重合

・観測データとスイープ信号との相互相関

などを行う。各発震点での発振作業が終了すると、RSU内のデータはパルス列の信号として本線ケーブルを通して観測車内のCRUに伝送される。 本線ケーブルは調査測線に沿ってRSUを直列に結合し、データの伝送時には、そのアドレスと共に、順次、CRUにデータを送り出す。CRUに送られたデータは、最終的に記録媒体に収録される。同時に、観測データがモニター記録として出力される。

受振については、図2−9に示すように、いくつもの地震計を直列/並列に接続した受振器を使用するのが一般的である。個々の地震計は、受振点を中心に測線に沿って数メートル間隔で配置される。地震計には通常10Hz前後の固有周波数を持った速度タイプのものが使用される。