(3)下総観測井周辺における調査

千葉県沼南町に位置する,東京都周辺における地震基盤到達孔のひとつである下総地殻活動観測井周辺では,千葉県によるSMO観測点(C25),KMC観測点(C13),SRC観測点(C14)と埼玉県によるShimohsa観測点(S68)で調査が行われている。これらを対象比較したものを図3−2−2−2上図及び下図に示す。上図では,下総地殻活動観測井,(C25),(S68)の対比,下図では(C13),(S68),(C14)の対比を行なっている。これらの内,SMO観測点(C25)は下総地殻活動観測井の近傍に位置している。また, Shimohsa観測点(S68)は KMC観測点(C13)とSRC観測点(C14)の中間に位置している。 (C25)は6層モデル,(S68)は8層モデルであるが,(S68)は,地震基盤相当層の下部にも層を設定しており,地震基盤相当層までの層数は同じである。

これらは,下総地殻活動観測井を参照して解析されていることで,主要な層境界深度は対応がとれているが,S波速度に関しては,千葉県による調査のほうが速い値を示している。下総地殻活動観測井では,過去にS波検層(太田・他1978) とVSP探査(山水・他1999) が実施されており,基盤S波速度は,前者で2.6km/s,後者で約3.0km/sと解析されている。埼玉県による結果はS波検層と整合的で,千葉県の結果はVSP探査結果と比較的整合的である。また,松岡・他(1996)によると,基盤S波速度を3.2km/sとして計算した場合でも,モデルから計算される理論位相速度の差異は,観測値が得られた周波数範囲では小さいとしている。

表4参照