3−1−2 既存調査結果との比較

YYG地点及びKOT地点の近傍では,主として学術的な目的による微動アレイ探査が過去に実施され,その解析結果が公開されている(山中ほか,1995;山中・山田,2002)。

図3−1−7は各調査地点での観測位相速度の推定結果を,図3−1−8は同じくS波速度深度分布の推定結果を,それぞれ比較したものである。比較対象であるSBY地点(山中・山田,2002)は図3−2−1(後節3.2を参照)の「U25」地点に,同じくKTO地点(山中ほか,1995)は図3−2−1の「U01」地点に,それぞれ該当する。また,YYG地点に対するS波速度深度分布は,8層水平成層モデルによる再解析結果である。

本調査と上記の学術調査とでは,実際の観測場所やアレイ形状,観測位相速度の推定方法,地下構造モデルの仮定の考え方などが互いに異なるため,両者の調査結果の優劣を単純に論じることはできない。しかし,図3−1−7及び図3−1−8から明らかなとおり,観測位相速度・S波速度深度分布のいずれについても,各々の調査結果は調和的である。本調査で提出(あるいは再度提出)する解析結果は,既存の調査結果と矛盾するものではなく,むしろ既存の調査結果を補うものであるということができる。