1−7 調査結果の概要

東京都の板橋区舟渡地点・渋谷区代々木地点・千代田区北の丸地点において微動アレイ探査を実施した。その解析結果と既存資料とを合わせて総合解析を行った結果,以下のことが明らかとなった。

@ 微動アレイ探査により東京都区内3地点(北区舟渡地点・渋谷区代々木地点・千代田区北の丸地点)における地震基盤までのS波速度構造が求められた。

A 地震基盤の深度は,舟渡地点・代々木地点で約2,500m,北の丸地点で約2,700mと求められた。

B 各層におけるS波速度は,上総層群,中−下部で0.9〜1.0km/s,三浦層群で1.3〜1.6km/s,地震基盤と考えられる先新第三系基盤で3.1〜3.2km/s程度と求められた。

C 舟渡地点における微動アレイ探査結果は,同地点で平成14年度に実施された「平成14年度 関東平野(東京都)地下構造調査」(地震探査)結果と深部においては整合しているが,浅部地質境界に食い違いが生じている。食い違いの原因として,@P波の速度境界とS波の速度境界が必ずしも一致していない。 A浅部速度構造が水平多層構造の仮定に十分合致していない。 B微動アレイ実施位置近傍における重合速度から求めたP波速度は反射面を接して1.8km/s,及び1.9km/sを示し,コントラストが認められない。一方,1.9km/sと求められた層の下部の速度は2.8km/sとされ,上部(1.9km/s)と比較してコントラストがあることから,反射断面における解釈面より下位に速度コントラストがある。ことが原因であると考えられる。

D 今回得られた微動アレイ探査結果と既存資料による結果とを合わせて基盤上面深度分布と,上総層群基底深度分布を求めた。その結果,基盤上面深度分布は既存文献で示されている分布と類似した結果が得られた。また,上総層群基底深度分布は, 代々木地点及び北の丸地点で既往結果より浅い深度が想定されており,基底面形状がやや複雑になった結果が得られた。