4−8 まとめ

・平成16年度に実施された反射法地震探査によって,3次元地下構造モデルのデータが追加になったため,平成14年度・平成15年度反射断面の再解釈を行った。また,このデータの追加により,これまでの微動アレー探査結果や既存重力データ解析結果の見直しを行った。

・これらのデータに基づいて,平成15年度に作成した3次元地下構造モデル(地質モデル,物性値モデル)を更新した。

・平成14年度調査及び平成15年度調査と同様に,1次元地震動解析を実施して平成16年度に更新した物性値モデルの検証を行った。S波速度は各層ごとに平均化した値を用い,S波速度に係るQ値は一律に100と仮定した。観測地震は,釧路沖地震(2004年11月29日3時32分,M7.1)を使用した。

・多くの地震観測点で,観測波と物性値モデルを用いた1次元地震動解析の結果得られた合成波は,SH波初動に関して良く一致した。また,初動から8秒間のフーリエ振幅スペクトルについても,0.2Hz〜1.0Hzの間で両者はほぼ同じ値であった。

・1次元増幅特性の影響を最も大きく反映するS波初動ピークトゥピーク値を地震観測点ごとに比較した結果,計算された合成波のS波初動ピークトゥピーク値は,一部の地震観測点を除き,観測波の0.7〜1.1倍の範囲に収まった。この傾向は,釧路沖地震よりもマグニチュードの小さい地震(青森県東方沖地震,M6.4)を用いて求めた平成15年度結果と一致した。

・平均S波速度を用いた物性値モデルの場合でも,微動アレー探査によって得られたS波速度構造と同様に,地震動の1次元増幅特性をある程度説明できることが分かった。ただし,その際には比較的浅部のS波速度のローカリティーに対する配慮が必要である。