(3)地震波初動振幅のピークトゥピーク(peak−to−peak)値

平成15年度と同じように,物性値モデルが地震動の1次元増幅特性をどの程度説明しているかを把握する目的で,1次元増幅特性以外の影響を受けにくいS波初動のピークトゥピークの値を,図4−7−9図4−7−10図4−7−11図4−7−12図4−7−13図4−7−14図4−7−15図4−7−16図4−7−17図4−7−18図4−7−19図4−7−20に示した観測波と合成波についてそれぞれ読み取り,比較を行った。

各地震観測点について観測波と合成波のピークトゥピークの値,及び観測波のピークトゥピーク値に対する合成波のピークトゥピーク値の比を,図4−7−24に示す。図4−7−24には 2001年8月14日青森県東方沖地震(M6.4)を利用して求めた前年度調査結果を併せて表示した。地震観測点の略称「札幌XX」は,札幌市震度計ネットNo.XXを表す。

2004年11月29日釧路沖地震(M7.1)を用いて求めたピークトゥピーク振幅比(図4−7−24の下図)は,札幌市震度計ネットNo.4(新琴似出張所)で0.52,同・No.7(中央消防署)で1.52,同・No.10(琴似出張所)で1.84である。これら3地点では平成15年度調査とは対照的に,計算値と観測値との差が大きい傾向にあるが

,No.7・No10は初動付近の周期が合っていないため単純に比較することはできないと考える。また,2001年8月14日青森県東方沖地震(M6.4)と2004年11月29日釧路沖地震(M7.1)とで異なった結果が得られた点については,互いの周波数成分が異なることや2004年11月29日釧路沖地震(M7.1)においては0.6〜1Hz付近で計算値と観測値との乖離が大きいことが課題となった。

これは,地震波の到来方向の違いや表層付近のローカリティによる影響等が観測波に現れていると考えられるが,詳細はより多くの観測データを用いて確認する必要があると考える。

図4−7−24  SH波初動のピークトゥピーク値