4−6−1 地質モデル

第四系基底,当別層(西野層)基底及び地震基盤(定山渓層群)について等深線図を作成した。使用した深度データは次の通りである。

第四系基底深度,当別層(西野層)基底深度のデータ

・平成14年度,平成15年度及び平成16年度の反射解釈断面図

・微動S波速度構造を地層区分した結果(全35点)

・既存ボーリングデータ(岡,2003ほか)

    地震基盤深度のデータ

・本章(2)既存重力データ解析結果(図4−2−7

第四系基底と当別層(西野層)基底の等深線図をそれぞれ図4−6−1図4−6−2に示す。地震基盤については,コントロールデータのみから作成した等深線図を図4−6−3に,重力基盤深度をコントロールデータで補正した後の等深線図を図4−6−4に,鳥瞰図を図4−6−5に示す。等深線図の作成に当たっては,曲率最小化原理に基づいた内挿を行った。なお,各等深線図作成に用いたコントロール点の基礎データ及び既存ボーリングの位置図は,巻末資料集に収めた。

各等深線図から推定される地層分布の特徴は次のとおりである。

(ア) 第四系(材木沢層)基底等深線図(図4−6−1

第四系基底は,調査地域の大部分で標高0m〜−400m付近に分布するが,既存重力図(図4−4−1参照)で低重力異常が現れている白石区東米里付近を中心にして深くなっており,最深部では標高−1200m程度となる。調査地域西側の山地と平野部の境界付近での基底深度は,標高0〜−100m程度である。

(イ) 当別層(西野層)基底等深線図(図4−6−2

当別層(西野層)は,第四系と同じように,既存重力図で低重力異常が現れている白石区東米里付近を中心にして深くなっており,最深部では標高−3400m程度となる。調査地域西側の山地と平野部の境界付近での基底深度は,標高−200〜−400m程度である。

(ウ) 地震基盤面等深線図(図4−6−3図4−6−4

図4−6−3に,反射法地震探査測線,微動アレー探査観測点,既存ボーリング点などのコントロール点における地震基盤深度に基づいて作成した地震基盤(定山渓層群)等深線図を示す。既存重力データから求めた地震基盤深度情報をまだ取り入れていない段階の等深線図であるため,上述のような調査結果がほとんど得られていない調査地域南西側の山地部などの地震基盤深度は不明である。

図4−6−4には,本章(2)に述べたように,重力異常値とコントロール点における既知の地震基盤深度との関係を利用して推定した地震基盤深度分布を,図4−6−3の地震基盤深度データで補正した最終的な地震基盤等深線図を示す。コンターの分布は,調査範囲内では図4−6−3とほとんど同じだが,調査範囲の北東外側(当別町),南東外側(北広島市)や南西外側の山地部ではコンターが追加されている。これらによると以下のような傾向が認められる

・地震基盤面は,既存重力図で低重力異常が現れている豊平川右岸側(白石区東米里)付近を中心にしてかなり深く,最深部では標高−5600m程度となる。平成13年度反射法地震探査で捉えることができた月寒背斜西側の向斜部で地震基盤が標高−3800m程度と周辺よりも深くなっている。また,石狩湾から石狩市にかけても深いところが見られる(最深部で標高−4000m程度)。

・周辺よりも地震基盤が浅くなっているところは,平成14年度反射法地震探査で捉えることができた月寒背斜付近や,札幌市と石狩市の境界付近に見られる。

・調査地域西側の山地と平野部の境界付近での地震基盤深度は,標高−2000〜−2400m程度である。

図4−6−5は地震基盤の鳥瞰図である。上述した地震基盤が深くなっている地域を示した。