2−4−1 取得データの品質

市街地における測定のため,測線に家屋が近接しており,計画段階では,十分な発震点数と発震エネルギーが確保できないことによるデータのS/Nの低下が懸念されたが,バックグラウンドノイズが比較的少ない厚別川の河川敷に受振器を設置できたことと,予想以上に弾性波の伝播状況が良好であったことから,全体的に品質の良いデータが取得できた。図2−4−1−1図2−4−1−2図2−4−1−3図2−4−1−4図2−4−1−5図2−4−1−6に示す現場モニター記録を例にとって,記録に現れている反射波,屈折波の特徴の概要について,以下に述べる。なお,3000番台の発震点は,現地状況によって受振測線から離れている発震点である。

(ア) 国道36号から南側での発震記録:図2−4−1−1図2−4−1−2

S/Nは高く受振測線の端まで強い初動走時が確認できる。VP−121では,往復走時1.7秒付近までS/Nの高い反射波があり,VP−3152では,往復走時3秒前後からもはっきりとした反射波が確認できる。

(イ) 国道36号からアクセス札幌までの発震記録:図2−4−1−3図2−4−1−4

(ア)と同じくS/Nの高いデータが取得された。初動は受振測線端まではっきりと確認できる。反射面は北に傾斜しているため,深部反射に関しては徐々にS/Nが低くなり,測線全体に渡っての視認は困難になっているが,往復走時2秒付近までの反射波は明瞭である。

(ウ) JR函館本線北側から川下公園までの発震記録:図2−4−1−5

記録の品質は良好であり,初動も受振測線端まで確認できるが,家屋の近くで発震エネルギーを制限しているため,往復走時3秒以深の反射波は確認できない。

(エ) 六線幹道での発震記録:図2−4−1−6

全体的にS/Nが低下する。屈折初動の伝播状況も,他区間の記録と比較してあまり良くない。バイブレータの発震仕様は他区間と同程度以上であるため,S/Nの低下は地表下浅部の泥炭層に起因すると考えられる。