2−1−4 共通反射点(CDP)重合法

反射法地震探査では,1回の発震で生じる反射波を多数の受振点(マルチチャンネル)で測定する。図2−1−4に示すように,発震点間隔を受振点間隔の整数倍とすれば,発震点と受振点の中点の位置は,受振点間隔の1/2で,規則正しく並ぶことになる。このような中点を共通反射点と呼ぶ。共通反射点はCDP(Common Depth Point)またはCMP(Common Mid Point)と呼ばれている。個々の測定データの発震点と受振点の組合せは,CDPとオフセット距離(発震点と受振点間の距離)としても表現できる。同一のCDPを構成する記録(トレース)の集合をCDPギャザーと呼ぶ。

CDPギャザーを構成するトレースは,反射波の経路は異なっていても,水平構造であれば地下の反射点位置は同一であり,その走時は)式2−1の双曲線で近似できる。

式2−1

ここに,T: 反射波の走時        T0 : 垂直走時=2HV/rms

H: 地表から反射面までの深度 X : オフセット距離

rmsはRMS速度と呼ばれ,地表から反射面までの一種の平均速度である。

この原理に基づき,経路の異なった反射波をその共通反射点位置での垂直走時に変換(NMO補正)して加算(重合)することにより,測線に沿った反射記録断面図を作成することができる。加算するデータの数を重合数と呼ぶ(図2−1−4は3重合の例だが,本調査では全体として20〜50重合程度)。このような手法を共通反射点重合法と呼ぶ。この手法は次のような利点を持つ。

@反射波の走時とそのオフセット距離から式2−1に基づき,速度解析によりRMS速度を計算し,垂直走時変換補正量(NMO補正量)や隣接する地層間の区間速度を求めることができる。

A異なった経路の反射波を重合することで,多重反射などの不要なイベントを消去して,S/Nを向上させることができる。