7−1−2 感度分析結果から考えられる微動解析についての考察

No.12とNo.24の観測位相速度を図7−1−2に示す。両者は0.28〜0.37Hzでは相違が見られるが,全体的には類似した形状を示す。得られたモデル(前掲,図3−6−1−12図3−6−1−24)についても,深度1000〜1700m付近の構造に若干の違いが見られるものの,基盤深度が2000m程度であることや,第2層深度が400m付近となることなど,全体的には類似した結果であった。

両観測点の感度分析結果からは,次のようなことが推察された。

反射測線近くに位置する微動観測点No.12での基盤深度は,反射基盤深度よりも500mほど浅い。同点の感度分析結果(前掲,図3−4−6−3)では,基盤深度に関する感度が悪く,基盤深度を250m下げても理論位相速度はほとんど変わらず,500m下げるとややはずれてくる。第5層の速度を250m/s変化させてもさほど効いてこない。これは解析が行えた周波数帯域の問題(0.3Hz程度までしか解析ができなかった)と考えられる。深度だけについて言えば,200〜300m程度は基盤深度を深くできる余地はある。

No.24の基盤深度も,反射基盤深度よりも600mほど浅い。ただし,反射測線から北へ約1.5km離れている。同点では0.2Hz付近まで解析が行えているにもかかわらず,No.12と同じように基盤深度についての感度が悪く(前掲,図3−4−6−8),これからは200〜300m程度は浅くできる余地はあると考えられる。

このような基盤深度についての感度の悪さは,この地域の構造に起因すると考えられる。

反射測線から西へ約700m離れているNo.25の基盤深度は,反射基盤深度よりも1000mほど浅い。ただし,ここでの反射基盤は不明瞭なため,基盤面は上位の反射面の形状から推定したものである。同点の感度分析結果(前掲,図3−4−6−9)では,基盤深度に関して比較的感度があるので,これだけの違いを基盤深度の変更のみで修正することはむずかしい。ただし,基盤速度が2.8km/sと3km/s以下であるので,基盤速度を深くして基盤速度も大きくするような修正を行う余地はある。

感度分析から以上のような知見が得られたので,次に微動観測点No.12及びNo.24について,基盤直上の第5層の厚さやS波速度を変化させた検討を行った。

No.12(図7−1−3)では,まず基本モデル(今年度再解析されたS波速度構造モデル)第5層の厚さを750mに変えて,下面深度を反射基盤深度の約2500mに合わせて解析を行った。0.45Hz付近から低周波側では理論位相速度は観測位相速度と一致していない(緑の破線)。次に第5層の厚さを750mのまま,速度を2190m/sから2500m/sに変えたところ,基本モデルと同程度に観測位相速度を説明できた(赤の破線)。

No.24(図7−1−4)でも,まず基本モデル第5層の厚さを1110mに変えて,下面深度を反射基盤深度の約2500mに合わせて解析を行った。0.35Hz付近から低周波側では理論位相速度は観測位相速度と一致していない(緑の破線)。次に第5層の厚さを1110mのまま,速度を2140m/sから2500m/sに変えたところ,基本モデルと同程度に観測位相速度を説明できた(赤の破線)。

以上の検討結果から,微動の基盤深度が反射基盤深度と合っていない点については,第5層の層厚や速度を変えることによって,ある程度修正できる余地があることが判った。しかし,前述したように,No.25における微動アレー探査結果と反射法探査結果の対応関係が悪い箇所については,その原因を究明するまでには至らなかった。微動アレー探査の解析上の問題や反射断面の解釈上の問題などが,その原因として考えられる。

来年度(最終年度)も反射法探査が実施される予定でもあるので,今年度は微動アレー探査結果と反射法探査結果を無理に合わせることはせずに,来年度の反射法探査結果や調査地域全体にわたる既存重力解析結果,既存ボーリングデータを考慮して,全微動観測点同一解析条件あるいは同一解析方法で再検討を行いたいと考える。また,反射断面の再解釈も必要に応じて行う予定である。