7−1−1 反射法探査結果と反射測線近傍における微動アレー探査結果との比較・検討

昨年度調査では,微動アレー探査から得られたS波速度構造の各速度層を,調査地域から離れた基礎試錐「石狩湾」の音波検層結果やコアの岩石試験結果などを参考にして,堆積層や基盤(定山渓層群)に対比させた。

本年度は豊平川河川敷においてP波反射法探査を実施し,反射断面の地質解釈(速度も含めて)を行っているので,その結果である解釈断面図と反射測線近傍の微動アレー探査結果を比較することによって,S波速度構造と地質構造との関係を検討した。

反射測線近傍には,3章でも述べたように,昨年度及び本年度調査で実施した微動観測点が複数点ある。それらのS波速度構造を並べた断面図を反射解釈断面図とともに図7−1−1に示す。なお,S波速度構造断面図には,測線の南及び北の延長先に位置する微動観測点No.14及びNo.10の結果も参考のために示した。

昨年度の総合解析では,まだ反射法探査も実施されていなかったため,S波速度構造断面を層区分する際には,隣り合う観測点の同じようなS波速度を示す速度層同士を結んでいた。しかし,本年度実施されたP波反射法探査からは,同一の地層(堆積層)でも深いところほど大きなP波速度が分布するという結果が得られたことから,反射解釈断面図を参照しながら,微動S波速度構造断面を層区分して地質解釈するに際しても,同じような考え方を取り入れた。

すなわち,反射解釈断面図の地層分布に合うように,微動S波速度構造断面で隣り合う観測点のS波速度構造を層区分していくときには,基本的には同じような速度を示す速度層を結んで解釈断面図の地層に対比させたが,参照する地層の厚さや分布深度が変化する場合には,一つ上又は下に隣接する速度の異なる速度層まで含めて,あるいは速度の異なる層に乗り換えて,解釈断面図の地層に対比させた。

その結果,微動アレー探査から得られたS波速度構造の各速度層と反射解釈断面図の各地層とは次のような関係にあることがわかった。