3−6−3 逆解析モデルの精度に関する検討

今回得られたS波速度構造モデルが,観測から得られた位相速度をうまく説明できる範囲で,どの程度変化可能か検討するために,本調査の目的である地震基盤相当の最下層におけるS波速度と深度に関して感度分析を行った。

まず,前述の解析によって得られたS波速度構造を最適解と見なし,感度分析は,その最適解のあるパラメータを若干変化させたときに,位相速度にどの程度変化が現れるかを見ることによって行った。ここでは,いろいろあるパラメータの中,最下層の深度とS波速度を選んだ。これは,この種の探査法では,逆解析された最適解の最下層については唯一性(ユニークさ)の判断が最も難しいと考えられるからである。今回は,推定S波速度構造の最下層深度を±500m,±250mまた,最下層S波速度を±500m/s,±250m/s変化させたときのモデルを作成して,そのレイリー波理論位相速度を比較した。それらを図3−6−2−1図3−6−2−2図3−6−2−3図3−6−2−4図3−6−2−5図3−6−2−6図3−6−2−7図3−6−2−8図3−6−2−9図3−6−2−10図3−6−2−11図3−6−2−12図3−6−2−13図3−6−2−14図3−6−2−15図3−6−2−16図3−6−2−17図3−6−2−18図3−6−2−19図3−6−2−20図3−6−2−21図3−6−2−22図3−6−2−23図3−6−2−24図3−6−2−25図3−6−2−26図3−6−2−27図3−6−2−28図3−6−2−29図3−6−2−30に示す。その結果,観測点No.8,12,16,23,24を除く,ほぼ全ての観測点で,構造変化に対する理論位相速度の変化が認められた。変化が認められた観測点では,感度分析結果から明らかなように,観測から得られた周波数範囲の位相速度をうまく説明できるモデルは,上記のパラメータ変化を超えることはない。最適解S波速度構造の最下層の推定精度は,深度については±250m以内,S波速度については±250m/sに収まるのは確かである。

No.8の感度分析の結果では,基盤S波速度に関する感度は認められるが,基盤深度に関する感度が悪い。0.2Hz程度まで解析ができており,基盤深度に関する感度の悪さは,この地域の構造に起因していると考えられる。

No.12,No.24の感度分析の結果では,基盤深度に関する感度が悪い。これは微動探査で解析が行えた周波数帯域の問題(低周波数側で充分に解析ができなかった)ためとも考えられる。ただし,No.24では0.2Hz付近まで解析が行えているにもかかわらず感度が悪い。現実的には0.2Hz程度までが解析できる低周波数側の限界と考えられる。そのため,この感度の悪さは,この地域の構造に起因していると考えられる。

No.23の感度分析の結果では,基盤S波速度に関する感度は認められるが,基盤深度に関する感度が悪い。解析は0.2Hz程度まで行えており,基盤深度に関する感度は,この地域の構造に起因していると考えられる。

以上の観測点はJR苗穂駅南の豊平川付近から丘珠空港西側にかけて分布しており,この地域における地下構造の特徴を示したものである可能性も考えられる。

観測点No.16に関しては,推定精度が悪いといえ,精度向上のためには,より低周波数成分の信号を測定,解析する必要がある。