5−5 まとめ

本年度の重力解析で分かったことをまとめる。

・本調査地域周辺で行われた重力探査は地質調査所(現 独立行政法人・産業総合研究所)によってまとめられており,札幌地域重力図(ブーゲー異常)として発表されている。

・測定は,感度が0.01mgalの精度をもつウォルドン重力計が用いられている。ドリフトが若干大きいという問題があるが,測定中に何回か閉測を行うことで,ドリフト誤差を最小にしている。観測点密度は,約400m間隔でデータが取得されており,本調査地域においては基盤深度が深いことが予想されるので,十分な空間分解能があると考えられる。昭和60年度に,これらのデータに対して,北海道で行われた全重力調査に対する基準点間の比較測定/データ編集(コンパイル)作業が行われており,現時点では,このときの補正に対して,さらに補正が必要であるという知見は得られていない。

・解析の際に必要となる密度の推定には,文献調査で収集した基礎試錐「石狩湾」の資料を用いることができた。次年度以降に解析を行う場合にも用いることが可能である。

・微動アレー探査結果から推定される断面図をもとに重力解析を行ったところ,断面西側を除いてブーゲー異常の観測値と計算値が比較的よく一致する結果が得られた。

・次年度以降も,3次元的地下構造を検討していく際には,この地域で唯一の面的な(三次元的な)物理探査データである重力データ(または重力解析結果)の利用は欠かせないが,そこでは傾向面解析による補正処理なども考慮する必要がある。