1−2−3 調査の流れ

上記調査方針に従い,これまでの知見や地域特性,文部科学省の堆積平野地下構造調査計画ガイドラインを踏まえ,また,以下に示す点を考慮して具体的な調査計画を策定した。

@ 石狩平野北部の地下を3次元的に捉え得る調査

A 石狩平野北部の地下には北西−南東方向の「地質構造異常帯」・「地震帯」および南北方向の地質構造が推定されていることから,それらを考慮した調査

B 石狩平野北部では堆積層が3,000m程度と厚く堆積するところもあることから,当該深度までを対象とした調査

C 深度3,000m程度までの地盤特性(地震波伝播速度など)が把握できる調査

D クロスチェックや補完効果のある複合的な調査方法

E 市街地を含む調査であることから,市民生活に支障を及ぼさない調査

F 既往データを最大限に有効利用でき,かつ,経済的・合理的な調査

G 得られたデータは,住民や行政,関係機関が利用でき,かつ,データの更新が容易なように体系的に整理すること。

具体的な調査としては,既存データの収集・解析,現地調査として微動アレー探査,反射法および屈折法地震探査を行うこととした。

調査は図1−3に示すように,3ヶ年で計画しており,平成13年度は,主として微動アレー探査を基に3次元地下構造モデル(第1次)の作成と次年度計画の策定を目的として実施した。平成14年度は,主として反射法地震探査を基に,微動アレー探査(補完調査)行い,前年度のモデルを修正し,次年度計画の策定を目的として実施する予定である。平成15年度においては,反射法地震探査(補完調査)を行い,信頼性の高い強震動予測を行う3次元地下構造モデルを完成させ,併せて地下構造のデータベース構築を目的として行う予定である。

平成13年度は,図1−4に示すように,文献調査・資料収集(強震動記録を含む),札幌市および北海道大学で掘削した500m〜750mボーリングのコア再観察,既往重力データの再解析,微動アレー探査21地点を行い,3次元地下構造モデル(第1次)を作成し,札幌市域およびその周辺で得られた強震動観測データ(波形データ)を用いて,強震動伝達シミュレーションを行い,波形に含まれる地盤構造の影響を評価することにより,モデルの問題点,精度などを検証した。また,これらの結果を基に平成14年度の計画を策定した。

以下,調査結果について記述する。

図1−2 調査方針

図1−3 調査計画素案の流れ図(年度別)

図1−4 調査計画の流れ図