5−2−1 探査原理

屈折法地震探査は、前章で述べた反射法地震探査と同じく、震源車等を用いて発振を行い、地下の地層境界で屈折してきた振動を震源車の周りの地表に設置した地震計で受振して、振動の伝播時間(以下「初動走時」という)を調べることにより地下の構造、特に速度分布を探る調査手法である。振動の初動走時を解析対象とするため、最初に受振点に到達するP波(縦波)を測定対象とするP波屈折法地震探査が一般的である。解析結果の例を図5−2に示す。

水平2層構造の場合に観測される初動走時の例を図5−3に示す。一般に深度が大きくなると弾性波速度も大きくなるため、発振点と受振点の間隔が大きくなると、地下浅部を伝播してきた振動より、地下深部を伝播してきた振動の方が早く到達する。同図に示すように、走時曲線の傾き、傾きが変化する発振点からの距離、及び切片等の大きさは、速度値や速度層の厚さに関係している。これらの情報から地下の速度分布を推定することができる。現在では、同図に示すような図式解法によらず、後述するX線CTスキャンに代表されるトモグラフィ手法の利用により、高い精度で地下の速度分布を推定する。