2−3 調査手法の選定とその経緯の概要

地下構造調査の実施にあたっては、強震動予測解析に利用可能な3次元地下構造モデルを得るという調査目的を念頭におき、地域の調査条件を考慮し、合理的かつ効率的な調査手法を選定することが重要である。

そこで本調査では、大阪平野の地形地質概要を把握し、表2−4に示す各調査手法の適用性や、[2.4調査地域の選定とその経緯の概要]の図2−7に示す既存の地質情報の疎密分布状況等を十分に踏まえた上で、以下に列記する基本的な方針案のもと、調査手法の選定を行うこととした。

@P波による反射法地震探査は、1000〜2000m程度における基盤岩深度の構造、堆積層の形状、断層構造などを2次元深度断面図として把握できるため、有効な地下構造調査手法として計画する。

A反射法地震探査は、重要度の高い測線から順次計画を進める。

Bボーリング調査については、既存の調査として深度500〜900mの調査孔が比較的多くあるため、計画から除外する。ただし、実施するならば基盤岩に達する掘削深度(1500m以上)が必要であり、経費が高額となる。

C大阪平野は基盤岩深度が1500m以上と深く、短い探査測線で屈折法探査を実施しても基盤岩のP波速度分布が得られないため、屈折法探査は測線距離の長い反射法地震探査測線に限定して実施する。

D重力探査、S波反射法地震探査、微動アレイ探査、ボーリング孔を用いた検層調査などは、既存資料でおおむね充分であると判断し、調査計画から除外する。

平成15年度においては、上記の地下構造調査の基本的な方針に基づいて、平成14年度と同様に、調査手法として最も有効と考えられるP波による反射法地震探査を調査手法として選定し、[2.2調査フロー]にしたがって地下構造調査を遂行した。なお、大和川南測線においては、基盤岩に関する情報をあわせて得るため、屈折法探査を併行して実施した。

表2−4 堆積平野の地下構造調査に対する調査手法の適用性