2−2 調査フロー

地下構造調査の最終目的は、地震動シミュレーションのための3次元モデリングを完成させることである。そこで、大阪平野を対象とした地下構造調査における当面の具体的な目的を列記すると以下のとおりである。

@大阪平野の地震基盤、すなわち花崗岩あるいは中・古生層(丹波層群)などの基盤岩上面の3次元的な形状を各種調査結果を用いて推定する。

A大阪平野の基盤岩を覆う堆積層、すなわち沖積層・段丘堆積層・大阪層群・神戸層群などの地質構造及び弾性波速度構造を各種調査結果を用いて推定する。

B以上の結果と既存の調査結果を併せて総合的な解析を行い、強震動予測に用いるための「3次元地盤モデル」を作成する。

ただし、上記の「3次元地盤モデル」は、以下の2種のモデルからなる。

@地質モデル・・・・・基盤岩上面の形状、堆積層の地質区分・分布・堆積年代、断層の位置・形状などの地質構造情報を持つ3次元モデル。

A物性値モデル・・・強震動予測に用いるための、P波速度、S波速度、密度、減衰定数などの物性値を、所定の格子間隔点に与えた3次元物性値モデル。

この「3次元地盤モデル」の作成にいたる調査の流れを図2−4に示す。

図2−4 3次元モデル作成にいたる地下構造調査全体フロー図

地下構造調査は、調査目的を達成するため、図2−4に示した3次元モデル作成にいたる調査フローに基づいて、調査委員会の指導のもとに効率的に遂行する必要がある。

大阪府では、平成14年度からの3ヶ年を前提として地下構造調査を計画、遂行している。3ヶ年における調査計画の全体フローを図2−5に示す。

図2−5 大阪平野地下構造調査の3ヶ年計画フロー図

図に示すように、平成15年度では反射法探査などによって新たに得られた地質情報をもとに、堀川他(2002)によるモデル範囲(図2−6参照)について検討を行い、さらに平成16年度においては、大阪湾地域を含む産業技術総合研究所による大阪湾モデル(堀川他,2003)を用いて3次元モデルを作成し、検証する計画である。

平成14年度に実施した大阪平野における地下構造調査結果を踏まえて、平成15年度では新たな2測線における反射法探査を実施することによって地質情報の取得を行った。平成15年度における地下構造調査の流れを、調査委員会の開催とあわせて図2−7にまとめて示す。

図2−6 3次元モデル範囲図

図2−7 平成15年度大阪平野地下構造調査フロー図