3−5−1 分布地層

 調査地域内には、地震基盤とみなせる先第三系基盤岩類を覆って、新第三系の堆積岩類・火山岩類と第四系堆積物が分布している。新第三系は中新統と鮮新統からなる。中新統は先第三系基盤岩類を不整合に覆って、調査地域南西部の阿武隈山地北縁から調査地域北方の一関丘陵まで、主に丘陵地とその西側の山地に分布している。中新統の岩相は、地域により、また層準により著しく変化している特徴がある。鮮新統は調査地域の丘陵の主な構成層で、下位の中新統を著しい不整合で覆っている。鮮新統の岩相は、地域による差は少なくほぼ同様な岩相構成を示す特徴がある。第四系は、主に主要河川沿いと平野部に分布している。

 調査地域の平野部を除く丘陵部や山地部にあっては、古くから詳細な地質調査がなされているが、上述したように中新統の岩相は地域や層準によって著しく変化していることから、同じ層準の地層であっても地域によって岩相や名称が異なっている。既存の地質文献には様々な地層名と層序区分がみられるが、本報告では、文献「北村信(1986)、新生代東北本州弧地質資料第3巻島弧横断ルートNo.23・24」の区分に準拠して、調査地域内の6地域(図3.5.1.1調査地域の細区分参照)の層序を対比した層序対比図を作成した(図3.5.1.2調査地域の層序対比図参照)。本調査報告での層序区分は、6地域の層序区分の内、東北太平洋側の代表的な新生代層序区分である仙台地域の層序区分を採用している。

 図3.5.1.3に調査地付近の地質概略図を示し以下に、調査地域内に分布する地層について時代別に岩相構成や分布状況を下位層から述べる。