調査地域内には、掘削深度1,000mクラスの温泉ボーリングが存在するが、これらのほとんどは個人あるいは民間企業が掘削したもので、ボーリングデータの多くは公表されていない。しかし、今回、所有者のご厚意により、いくつかのボーリングについては地質柱状図などのデータを入手することができた。
これらのボーリングデータは、スライム観察や温泉掘削を目的として、温泉湧出量の測定時等に行われた検層データ等を主体とするため、地層構成を詳細に把握するには充分ではないと考えられる。したがって、地質資料として使用する場合は、周辺の地質状況を十分に考慮して総合的に判定し、新たにボーリング柱状図を編集して作成した。データを入手することができたボーリングの掘削地点の位置を図3.4.1に示す。
なお、これらの温泉ボーリングデータと別に、以下の文献中にも温泉地域の地質についての記載が見られたため、解析の資料とした。
・宮城県(1970) 宮城県の温泉 秋保温泉
・宮城県(1979) 温泉源賦存状況調査報告書 秋保地区(昭和52年度調査)
・北村信ほか(1979) 秋保温泉地域の地質学的調査
・宮城県(1998)平成9年度宮城県温泉資源量調査報告(H10)
・宮城県商工労働部中小企業課・(財)東北経済開発センター(1969) 宮城県下における地熱・温泉地域の構造地質学的ならびに地球科学的調査研究−宮城県中部地域−