3−3−2 重力異常値を用いた密度値の検証

強震動記録を用いた地下構造モデルの検証を行うためには、地下構造の物性値としてS波速度、P波速度、密度、Q値などが必要になる。伊勢平野においては、深部までの検層データが無く、密度検層によって以下の層に対する密度が得られている(表3−2−1)。

第四紀層:1.5−2.0 g/cm

東海層群相当層:1.8−2.1g/cm

3.2.4および3.3.1で推定した地下構造モデルの各層に対して、周辺地域の調査結果を参考にして、以下の密度値を仮定して二次元のフォワードモデリングを実施した。図3−3−12は東西方向の3断面(北緯34°48′、北緯35°00′および北緯35°12′)を図3−3−13には南北方向の1断面(東経136°30′30″)の結果を示した。なお、重力異常値に標高補正が適用されていることから、モデルは深度で表現した。

第四紀層:1.9g/cm3

東海層群相当層:2.1g/cm

新統相当層:2.25g/cm

 基盤岩:2.55g/cm

東西断面、南北断面ともに、計算結果は観測重力値を概ね説明できる結果となった。また、基盤と堆積層の密度差(0.45g/cm程度)も、重力と基盤深度の関係式による値(0.46g/cm)に近いものになっており、仮定した密度が概ね妥当であると考えられる。ただし、南北断面中央部で観測値と計算値の差がやや大きくなっている。この部分は、東海層群相当層が厚く堆積している部分であり、東海層群相当層が厚く堆積している部分では、単一の密度値では表現しきれない可能性があること、また、この断面は中央構造線を横切っているため、断面の途中で基盤の密度が異なり南側の密度が大きくなっている可能性も考えられる。