(3)Line−2A副測線P波反射法

Line−2を補足する目的で、平成15年度反射法測線を東方に延長する方向約2kmの測線において、P波反射法地震探査を実施した。得られた記録に反射法の標準処理を行い、重合記録(図3−2−15)、時間マイグレーション記録(図3−2−16)、深度記録(図3−2−17−1図3−2−17−2)、速度構造図(図3−2−18)などを作成した。これらの図には、平成15年度の反射法地震探査結果も合わせて示した。これらから以下のことがわかる。

・ 深度記録断面図3−2−17−1図3−2−17−2)では、CDP900(四日市市霞)〜CDP1050(四日市市三ツ谷東町)付近まで基盤上面に対応すると考えられる反射面が捉えられた。その深度は、CDP1000付近から東落ちであり、深度2000m程度まで下がっているのが確認できる。

・ 四日市港断層に相当する基盤の構造変化は捉えられなかった。

・ 基盤以浅の堆積層の構造も全体としては東下がりであるが、CDP970付近およびCDP870付近で傾きが変わっている。

・ 発振点間隔が大きく、ミニバイブによる発振が主であったため、精度的には問題があるが、速度解析の結果、基盤以浅の堆積層のP波速度は深度と共に漸増し、1.9km/s〜3.4km/sを示しており、平成15年度反射法測線の結果と整合している(図3−2−18)。

図3−2−19および図3−2−20には、Line−2Aの結果に平成15年度の結果を加えたものと、伊勢湾内で実施された既存反射断面とを比較した結果を示した。Line2Aの東側で、各反射面が東に下がる撓曲構造を示しており、この撓曲構造で、平成15年度反射法測線の東端と伊勢湾内で反射法結果との各反射面のずれを説明することができる。言い換えれば、陸上の測線と海上の測線の間に大きな構造変化が存在する可能性は小さい。ただし、基盤上面については、両者の落差が残っているが、これは、測線の端であるために深部の反射が不明瞭であり、Line−2Aの東端で撓曲(または断層)によって落ち込んでいる東側の基盤に対応する反射面が捉えられなかったことによる。