(5)常時微動解析結果

表層地盤の増幅度や周期特性などの検討を行うため、微動アレー探査の各観測点のSアレー中心点において、上下動成分に加え水平動直交2成分の微動観測を行った。

図3−2−26−1図3−2−26−2図3−2−26−3図3−2−26−4図3−2−26−5図3−2−26−6図3−2−26−7に、観測点毎の観測波形、パワースペクトル、(ハ)で示した速度固定解析結果を用いて計算したレイリー波の理論水平動上下動振幅比(以下では、理論H/Vスペクトルと称す)と常時微動の水平動上下動スペクトル比(以下では、常時微動観測H/Vスペクトルと称す)を示す。

理論H/Vスペクトルは、レイリー波の基本モードの水平動と上下動の振幅比から算出した。低周波数側のピーク周波数は、海岸線沿いに位置する観測点No.3,6,8,10では0.2Hz以下、観測点No.1,2,4,5,7,9,11では0.2Hz〜0.3Hzの間、観測点No.12,13,14では0.3Hz〜0.4Hzの間である(表3−2−12)。したがって、観測点No.1〜No.14では、低周波数側において常時微動観測H/Vスペクトルと理論H/Vスペクトルのピーク周波数は良く対応している。一方、観測点No.15においては、常時微動観測H/Vスペクトルのピーク周波数は概ね0.9Hzであるが、理論H/Vスペクトルのピーク周波数は0.6Hz〜0.7Hz程度である。

そこで、観測点No.15において、常時微動観測H/Vスペクトルと理論H/Vスペクトルのピーク周波数をほぼ一致させるように速度構造の修正を行った。ただし、観測位相速度も満足するように留意しながら速度構造を修正した。そのためには、基盤深度を浅くする必要がある。図3−2−27に修正後のS波速度構造を示す。修正した結果、基盤深度は約100m浅くなる結果となったが、ピーク周波数は0.6〜0.7Hzの低周波数側となり、観測値とのズレが改善された。

以上の解析(E−(ロ)(ハ)(ニ))の結果から、各観測地点のS波速度構造の一覧を表3−2−13および表3−2−14に示す。

表3−2−12 低周波数側のピーク周波数一覧