1−6−3 微動アレー探査結果

伊勢平野の概略のS波速度構造を把握するために、特に基盤岩深度が深いと想定される箇所を中心として、北勢町及び桑名市付近から松阪市に至る15箇所に観測点を配置して、微動アレー探査を実施した。

図1−6−3に桑名市〜松阪市間(南北方向)及び菰野町〜桑名市間(東西方向)の微動アレー探査結果を断面的に並べその概要を示す。

探査の結果、おおよそ地表から表1−6−4に示すS波速度構造が検出された。

表1−6−4 微動アレー探査によるS波速度構造と地質との関係

これらの速度構造と地質との関係を確認できる場所が少ないが、速度値からみて最下の3.6〜3.8km/s層が中古生層や花崗岩等の基盤岩類に相当するものと考えられる。

なお、図1−6−3の菰野町〜桑名市断面においては、鮮新統と中新統の境はVs=1.4km/s相当層中に位置しており、ほとんど速度変化が認められず、鮮新統内の速度変化の方が、鮮新統と中新統境の速度変化よりも大きい結果が得られた。

ボーリングや反射法探査などとの比較によって、基盤岩深度としては、北側から海岸沿いの桑名市(No.3)〜楠町(No.8)にかけて、1,700〜2,100m程度、それから南に向けて徐々に深度が浅くなり、鈴鹿市郡山町付近(No.11)で1,500m程度が推定される。ところが鈴鹿市郡山町(No.11)と津市県庁(No.13)との間で急激に浅くなり、県庁付近では深度700m程度、さらに松阪市(No.15)に至って深度400m程度と推定される。

Vs=1.4km/s相当層は、No.3〜No.11付近までは1,000m程度の層厚を有しているがNo.11〜No.13間で急激に薄くなる傾向を示し、No.13〜No.15では100m以下となっている。No.13においては、Vs=1.4km/s層は解析上検出されていないが、上層の厚みが700m近くあることから、薄く分布していても分解能上の限界により検出されていないことも考えられる。

図1−6−3 微動アレー探査結果概要

 上段:桑名市〜松阪市、下段:菰野町〜桑名市