1−6−2 文献調査

調査にあたって、伊勢平野の大局的な地下構造を概略把握し、微動アレー探査の位置選定や探査結果の解釈への利用と、今後の調査計画策定のための基礎資料とすることを目的として、既存文献、既存ボーリング柱状図、既存物理探査及び既存地震・微動観測データ等の収集と分析を行った。

表1−6−3に収集した主要文献・資料の概要を示し、これらの資料の主要部分を抜粋し、主要文献抜粋集として巻末にまとめた。

以上の文献や資料から、基盤岩深度に関する情報を抽出した結果、伊勢平野内において基盤岩深度の情報が記載されているのは、表1−6−3中の下記の資料である(以下、本文中において引用する文献・資料については、表に記載した文献Noで示す)。

文献No.1,2 −北勢町青川付近の反射法探査(鈴鹿東縁断層帯の活断層調査)

文献No.4 −松阪市西野町の反射法探査(活断層調査)

文献No.5 −伊勢市の反射法探査(中央構造線調査)

文献No.8,10 −桑名市付近の反射法探査(活断層調査)と愛知県が実施した微動アレー探査

文献No.14,15 −菰野町湯の山〜愛知県海部郡鍋田間の屈折法探査

文献No.40〜42 −松阪市、伊勢市内において、全国深井戸資料台帳に着岩の記載が何箇所かで認められる(岩種等詳細不明)。

文献No.45 −菰野町湯の山付近及び久居市の温泉ボーリング

文献No.46 −嬉野町及び松阪市内の基盤強震観測網KiK−NET用ボーリング

これらは、平野の中央部というよりも、平野の西側の山地や平野部でも基盤岩深度が比較的浅い箇所に集中しており、特に基盤岩上面の深度が深いと想定される四日市市から津市の平野中央部にかけての資料は確認されていない。

図1−6−2に重力探査データの解析から想定されている基盤岩深度分布を示す(文献No.17)。

この図から、四日市市付近を中心として基盤深度が2,000m以上となることが推定され、平野の西側で鈴鹿東縁断層帯及び布引山地東縁断層帯、南側では白子・野間断層に至って急激に浅くなっていることが想定される。また、津市付近で深度1,000〜500m前後、松阪市では深度500m以浅であることが想定される。

地震基盤が深度2,000m程度と推定される地域は、鈴鹿東縁断層帯、伊勢湾断層、白子−野間断層にほぼ囲まれた範囲で、四日市市の大半と菰野町の南東側、鈴鹿市の北東約半分の地域となる。

図1−6−2 重力探査による基盤深度分布

 文献No.17:「応用地質技術年報No.20.P17」より抜粋

表1−6−3 主要参考文献・資料リスト