5−2 既存地質情報の見直し

本年度における調査の実施により,京都盆地南部の詳細な地質構成を把握することができた。しかし,本年度のボーリング調査結果は,1地点における1次元的な地質情報にすぎない。このため,既存の3次元モデルの修正に対する影響は必ずしも大きいものではない。また,ボーリング調査によって確認された基盤岩深度も,調査前に予測された深度とほとんど同じ深度に確認されたため,3次元モデルを大きく修正する必要なないと判断される。ただし,上述のように,本年度の調査ではほとんど未解明だった京都盆地南部における地盤深部の地質構成が詳細に把握されたため,その結果を踏まえてモデルの微調整を行った。

図5−2 反射法地震探査深度断面図の3次元表示図

平成10年度に実施した堀川−巨椋池測線と,平成13年度の久御山−八幡測線とは測線の設定上,連続した測線ではなかった。そのため,これらの反射法探査断面における反射面は,必ずしも連続したものではなかった。今回実施したボーリング調査は,これら2測線の接続部付近に位置するとともに,調査孔を利用して物理検層が実施されたため,この地点における詳細なP波速度構造が得られている。そこで,これらの調査結果を踏まえて,堀川−巨椋池測線と久御山−八幡測線を一連の断面として再解析を実施した。

図5−3に再解析によって得られた深度断面図を示す。これにより,宇治川断層によって不連続となっていた地層の連続性が京都盆地全体において明確となり,より精度の高いモデルの構築に対する基礎資料が得られたものと考えられる。

以上の結果をもとに,これまでの調査結果や既存情報とあわせて盆地全域の地質構成を総括した。図5−4に,これまでに実施した地下構造調査において推定された,全反射法地震探査測線の基盤岩深度分布と堆積層の地質構成をまとめて示す。なお,ここに示した五条測線は,平成12年度と13年度に実施した探査結果を結合させた断面であり,南北測線は上述したように堀川−巨椋池測線と久御山−八幡測線を一連の断面として結合したものである。

図5−4 反射法地震探査にもとづく総合地質解釈図