2−2−2 大阪層群

基盤岩の上位には未固結〜半固結の粘土と砂礫の互層が堆積する。これらは大阪層群と呼ばれる地層であり,新第三紀鮮新世後期から第四紀更新世中期にかけて形成された堆積物である。大阪層群はおもに淡水域に堆積した陸水成層からなるが,海域に堆積したMa1,Ma2,Ma3などと呼ばれる約12枚の海成粘土層や数10枚の火山灰をはさむ。これらの海成粘土層や火山灰を検出することは,京都盆地における地層の分布や盆地の形成過程を推定する上で重要である。

本孔における大阪層群の層相は,粘土,砂,砂礫が互層状をなすが,全体的に砂や砂礫層が卓越する。しかし,深度460〜520mと612〜694mは粘土優勢の粘土砂互層であり,深度641〜691mの間はさらに粘土が卓越する。また,深度460m以深の粘土は固結がすすみ硬質となるが,所々ゆるい粘土をはさむ。

コアの肉眼観察により火山灰層と推測されたものの内,火山灰分析により以下に示す5枚の広域火山灰が同定できた。詳細は,火山灰分析の項に後述する。

 深度 49.86〜 49.88m: 2cm厚

 深度164.88〜164.92m: 4cm厚

 深度295.30〜297.84m:2.54m厚

 深度343.59〜343.60m: 1cm厚

 深度667.80〜670.79m:2.99m厚

深度9〜50mと170〜200mの間において細粒土層の部分で連続試料を採取し,火山灰の洗い出し処理分析を行うことにより,以下に示す3枚の火山灰の降灰層準が検出された。詳細は,火山灰分析の項に後述する。

 深度 13.00〜 13.10m:10cm

 深度 24.75〜 24.80m: 5cm

 深度172.80〜173.00m:20cm

粘土の色調には暗灰色と緑灰色の2種類が見られ,暗灰色を呈する粘土は海域に堆積した海成粘土といわれており,本孔のボーリングコアでは以下に示す5層が識別された。しかし,平成11年度と12年度にボーリング調査を行ったKD−1およびKD−2孔と比べると,本孔の海成と思われる粘土は,比較的明るい色調の灰〜暗灰を呈する。

 深度101.82〜106.00m:4.18m厚

 深度183.56〜186.45m:2.89m厚

 深度213.19〜217.87m:4.68m厚

 深度249.05〜250.40m:1.35m厚

 深度297.84〜300.64m:2.80m厚

一方,緑灰色の粘土層には藍鉄鉱を含むものがあり,淡水環境によって形成された粘土層であることがわかる。

写真2−7 砂 礫 層 [深度:204〜207m]

写真2−8 淡水性粘土層 [深度:141〜144m]

写真2−9 海成粘土層(Ma3)[深度:297〜300m]