9−2−3 2次元地質断面の作成

つぎに前述の様に,東西方向の2次元断面を用いて,各ブロックの堆積面および基盤岩上面のデータ作成を行った。作成した断面数は,南北方向500m間隔に71断面である。なお断面の方向を東西としたのは,京都盆地の大局的な地質構造が,花折−桃山断層系や西山断層系などの南北性の断層系であるためである。

この作業は,会話型の断面作成ツールを開発して用いた。このツールの作業画面では,地表面,ブロックの境界となる断層面,表層地質情報,重力による基盤岩推定深度,反射法探査結果,近接するボーリングデータ,あるいはすでに作成した近傍の地質断面などを表示して作業を進めることが出来る。

作成した地質断面の例として,図9−4に反射法探査測線の久世橋測線近傍を通る東西断面を示す。図中に示したように,ここで作成するデータは,基盤岩上面,大阪層群中の海成粘土層 Ma3,Ma6,Ma9 に相当するの3つの地質区分境界面,および地表面の地質区分とした。

なお,この大阪層群中の海成粘土層Ma3,Ma6,Ma9は,それぞれ85,60,40万年前ごろ堆積した地層と推定されている。京都盆地の大阪層群が概ね等速度で継続的に堆積したものと仮定すると,これらの海成粘土相当層の深度と堆積年代の関係を補間および補外して,各地点の任意の深度における大阪層群の堆積年代を推定することが出来る。これはやや乱暴な方法ではあるが,堆積層の性状を数量化して物性値に結びつける手段として,現在の知見のレベルでは実用的な方法と考えられるため,物性値の推定にはこれにより求めた堆積年代分布を用いた。