9−2−2 断層構造の推定とこれに基づくモデル領域のブロック分割

モデル作成の最初に,京都盆地全域の断層構造モデルを推定した。推定に用いた資料は,既存の表層地質図,活断層調査結果,重力による基盤岩深度コンター,および反射法地震探査結果などであるが,断層の深部構造に関する情報は非常に限られている。現実には,各断層系はいくつかのセグメントに分かれ,傾斜角も各々のセグメントで異なっており,また表層部では細かく分岐しているものと推定されるが,このような詳細な情報はほとんど得られていない。そこで,このモデルでは各断層系の情報をやや大胆に整理して,それぞれ傾斜角一定で滑らかな1枚の断層面として取り扱うことにした。

以上の作業で得られた断層面によって,京都盆地のモデル領域は概略的にいくつかのブロックに分割される。ただしこの分割は,他の断層に接することなく終焉する断層なども多いため,完全な分割にはなっていない。そこで一部の断層を強制的に延長して,モデル領域を10ブロックに分割が出来るように断層構造モデルを修正した。この強制的に延長した部分は,落差を伴わないブロック境界と考えれば,以下の作業では特に支障とはならない。

作成したモデル領域のブロック分割結果を,図9−3に示す。この図では断層ごとに地表付近の一定標高の位置だけをプロットしているため,断層位置は滑らかな曲線に見えるが,この段階でそれぞれの断層に固有の傾斜角を与えている。なお,モデル作成の都合上,ここで与えた断層の位置および傾斜角は,以後の作業では修正を行えないことにした。