(4)放射性炭素年代測定

自然界に存在する炭素には、表5−2に示されるように、12C、13C、14Cの3種類がある。これらのうち、放射性同位体の14Cが5730年を半減期として一定速度で放射崩壊する性質を利用して年代測定が行われる。

表5−2 天然の炭素同位体

おもな測定方法には、液体シンチレーションカウンタによるβ線計数法(Radiometric Method)と、加速器質量分析計による質量分析法(AMS,Accelerator Mass Spectrometry)がある。一般的には、十分な腐植試料が得られる場合には前者の方法が用いられ、試料が微量で数10mmg程度しか得られない場合には後者の方法で分析される。

分析によって得られた数値は、主として2種類の補正が施される。ひとつは分析試料の種類の違いによる同位体の分別効果の補正であり、安定同位体の13Cを用いて試料形成時の同位体効果の程度を知る方法である。

他のひとつは、過去における大気CO14C濃度が、現代(1950AD)のそれとは必ずしも一致しないために発生する測定誤差に対する補正である。これは樹木の年輪から読みとられた既知の暦年代値と、その年輪形成時の14C濃度を測定することで得られる14C年代値とを対応させることによって作成される補正曲線を利用して行うものである。ただし、この暦年代補正は約10,000yBP以降のものについて実用化されている。

なお、この方法で得られた測定結果は、西暦1950年を起算年0として表示し、年代値の算出に対して用いる半減期は5568年としている。