(2)大阪層群

基盤岩上には未固結の粘土,砂,砂礫の互層が堆積する。これらは大阪層群と呼ばれる地層であり,新第三紀鮮新世後期から第四紀更新世中期にかけて形成された堆積物である。大阪層群はおもに淡水域に堆積した陸成層よりなるが,海域に堆積したMa1,Ma2,Ma3などと呼ばれる約12枚の海成粘土層や数10枚の火山灰をはさむことが知られている。これらの海成粘土層や火山灰を対比することは,京都盆地における地層の分布や盆地の形成過程を推定する上で重要な情報となる。コア観察では以下に示す8枚の火山灰層が確認されたが,火山灰分析により3枚の火山灰を対比することができた。これらの詳細は後述する。

深度    75.35m     : 5mm厚

深度   101.40m     : 5mm厚

深度   114.05m     : 1mm厚

深度132.93〜133.21m : 28cm

深度140.73〜140.90m : 17cm

深度154.65〜154.72m :  7cm

深度207.36〜207.88m : 52cm

深度218.30〜218.42m : 12cm

一方,粘土の色調には暗灰色と緑灰色の2種類が見られ,暗灰色を呈する粘土は海成粘土といわれ,基準ボーリングでは以下に示す5層が識別されている。

深度 63.03〜 68.70m :  5.67m厚

深度123.33〜128.80m :  5.47m厚

深度141.35〜150.00m :  8.65m厚

深度174.00〜177.70m :  3.70m厚

深度207.88〜213.51m :  5.63m厚

後述する珪藻化石分析や微化石総合分析の結果においても,これらの粘土層より海域の堆積環境を示す海棲珪藻種,貝殻片,黄鉄鉱などが検出され,これら5枚の粘土は海成粘土層の可能性があると考えられる。とくに,深度65mと210m付近の粘土層に含まれる海棲珪藻種や貝殻片は,大阪湾から京都盆地に進入した海の痕跡といえる。