今年度は、川崎市域において平成11年度のK1地点に引き続き、反射法地震探査測線上にK2,K3,K4の3地点の微動アレー探査を実施した。また、速度構造解析はK1の再解析を含む4地点について微動アレー探査の適用性検討を含めた解析を行なった。
微動アレーの適用性検討について
図3−28、図3−29、図3−30、図3−31にケース1(微動アレー探査のみ情報から解析したもの)とケース2(反射法地震探査から得られた速度構造を参考にして解析したもの)との得られた速度構造を比較したものである。
・図で明らかなように両者の速度構造は、境界面深度は必ずしも一致しないが、そのトレンドは良い整合性が見られる。
・第1層と第2層は、速度値・層厚ともほぼ一致している。
・第3層から基盤までの速度構造については、ケース1では2層構造、ケース2では4層構造に細分されて表現されている。
・基盤の深度と速度値は比較的ばらつきが大きい。
以上のように、微動アレー探査単独で解析を行なっても、基盤以浅の速度構造をある範囲幅に絞り込められることがわかった。しかし、基盤の深度・速度値についてはやや精度の落ちる結果となった。これは、基盤が約3kmと深いために、得られた位相速度の基盤情報を有する0.2Hz以下(周期5秒以上)の周波数域における位相速度の精度低下が原因と考えられる。仮に観測に用いる地震計の性能が向上し、周期10秒強までの位相速度が求まれば、更に基盤の検出精度が向上するものと考えられる。
川崎市域のS波速度構造及び反射法地震探査結果との比較について
・反射法地震探査から得られた速度構造を参考にして解析したケース2の結果から、微動アレー探査地点のS波速度構造は、7層モデルで表現される。
・図3−32、図3−33に微動アレー探査結果(平成11年、12年)と平成10年度及び平成12年度に実施された反射法地震探査結果を比較したものを示した。微動アレー探査による基盤上面深度は、反射法地震探査により得られた基盤の深度と良く一致している。また、基盤以浅のS波速度構造については、全体として、反射法で得られた反射面と比較的整合性が見られる。