(2)屈折波解析(Refraction Analysis)

全ての現場原記録から(屈折)初動走時を読みとり、その値から発振点・受振点におけるタイムターム、および表層基底層速度を未知数とするインバージョン(改良タイムターム法)を行い、表層の構造を求めた。この結果を図21−1図21−2に示す。上図は得られたタイムターム、中図は得られた表層基底層の速度、下図は得られた表層構造である。横軸は、測線の受振点番号を示す。

表層基底層のP波速度は約1.4 km/sで、S波速度は0.45 km/sであった。一方、P波の表層速度は0.5 km/s、S波の表層速度は0.15 km/sであった。表層の厚さは、10 〜 20mの範囲であった。

多摩川低地には河床堆積物である沖積層(厚さ10m〜30m)が存在しており、本解析の表層厚の結果と調和的である。したがって本屈折波解析での「表層」とは、この沖積層に相当するといえる。

この結果は、表層第一層の厚さの変化および標高変化に対する走時変化の補正(表層静補正)のデータとして用いた。